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2013/06/11

水晶沢~雷木沢左岸尾根

あれは2年前の夏だった。
悪夢の滑落事故からもう2年が経とうとしている。早いものだねぇ・・・月日が経つのは・・・。
シミジミ・・・

あの時は水晶沢を遡行して水晶沢ノ頭に詰上げた後、ヌタ小屋沢を下降中に滑って骨折したのだった。

ヌタ小屋沢の景色はよく覚えている。滑った場面のあのザレ斜面も10mの滝もはっきり思い出せる。
水晶沢ノ頭から真東の尾根で沢の1000m二又へ降りた事も。
滑落した後、左岸の尾根に登りかえして下山してきた事も。

でも、水晶沢の景色をほとんど思い出せないのだ。
確かにこの足で歩いて登ったはずなのに、どんな沢だったのか、どんな滝があったのか・・・覚えていない。どのルートで稜線に詰上がったのかも。
ロガーは入れていたはずだが、ログをPCに移していなかったのか、データが残っていない。

滑落の記憶が強烈過ぎて、その前の水晶沢の記憶が飛んでしまっているのだ。

だからもう1度行って来なきゃね。・・・とずっと思っていた。

そしてもう一つ。
あの日、当初の予定は水晶沢ノ頭から雷木沢左岸尾根の下降だった。
何故、ヌタ小屋沢下降に変えてしまったのか・・・。
下山用の登山靴を担いでいなかったからだ。
沢靴でのV尾根下降はとっても疲れるのだ。疲れるのはいいとしても、足を痛めてしまうのだ。
沢靴で歩きやすい、沢を下降しよう・・・なんてバカな事を考えてしまったのだ。

だからもう一度、あの日の予定ルートを歩いてこなきゃね。…と思った。
今度は下山用の登山靴を担いで行こう。

Tizu17

2013年6月9日

用木沢出合に車を停め、支度をして出発。7時10分。

白石沢キャンプ場の跡地を抜け、やまびこ橋で単独の男性に追いつく。ヘルメットをぶら下げていたので、この人も沢だなと思って声をかけてみた。モロクボ沢を詰めるという事だったので、「それじゃあ、途中まで一緒に行きましょう。」という事になった。

P6090025

7時45分 モロクボ大滝。
びっくりするほど水量が少ない。何回も見ている滝だが、今までの中で一番ショボい。
とはいえ、落差20mの大滝はそれなりに見ごたえはあるが。

この大滝の巻きルートは有名だから説明しないけど、健在でした。今日現在、安全に巻く事ができます。

P6090031

大滝の上流は、モロクボ沢の一番素敵な区間。小滝と綺麗なナメが続きます。
が、やはり水量が少なく・・・この沢本来の美しさにはちょっと・・・。
やまびこ橋から同行している男性は、初めてモロクボ沢に来たと言っていただけに、なんだか残念な気持ちになってしまいました。「本当はもっと美しい沢なんだよ~」という気持ちです。

そして、今日は岩が水垢でヌルヌルしている。西丹沢の沢にはバツグンのグリップ力を発揮するステルスソールの靴がスリップします。
こんなにヌルヌルするモロクボ沢は初めてだ。こんな日は、同行男性が履いていたフェルト底の靴の方が良いようです。

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8時18分 水晶沢出合。
モロクボ沢本流を詰める男性とはここでお別れです。
短い道中でしたが、おしゃべりしながら楽しく歩けました。ありがとうございます。また丹沢のどこかでお会いしましょう!

P6090040

水晶沢に入ってしばらくはゴーロ歩き。
キメ岸沢出合を過ぎるとチラッとナメ床が見えてきたのでテンションあがる。

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出合から10分ほどで5mの滝。
イガイガさんとかは水流左の苔付岩を登るらしいが、とても登れる気がしない。
前回はどうやって巻いたのかなぁ・・・と考えるが思い出せない。

少し戻って右岸の泥斜面をよじ登ってみたら意外と簡単に巻けた。
大岩の上から沢へ戻る時に5mの補助ロープを使ったが、ロープ無でもいけたかもと思った。

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ゴーロとナメが交互に現れる。

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890mの二又を左に進むとしばらくして階段状の滝。20mくらいはあるかなぁ。
ステップを探しながら登る。簡単に登れる部類だとは思うが、ところどころが水垢でヌルっとしているから要注意だ。

P6090053

940mの二又。沢床は左の方がやや低いが、水量は右の方がやや多い。
どちらへ進むか少しだけ迷ったが、右又を選択。地形図を見る限り、右の方が本流っぽい気がしたから。

P6090054

しばらくゴーロ歩きが続きますが、なんだか気持ちが良い沢です。

P6090056

水流がチョロチョロあるスラブ岩。傾斜は緩めだからわけなく登れるが、なんせ水垢でヌメる。
次のステップにする場所をグローブでごしごし擦りながらよじ登る。
沢屋がタワシぶら下げてるわけがわかった。

P6090061

990m付近の二又は右に進む。
そろそろ尾根に上がり時かなァ・・・と思いながらも、水の涸れた棚をよじ登る。

P6090065

1050m付近になると涸棚が続いていた。2~30mはあった。ちょっとしたクライミングだ。
取りついちゃった以上、登りきるしかない。
一か所だけいいステップが見つからず、腕力と膝でよじ登った。少しヒヤッとしたぜ。

P6090070
涸棚を登りきると、今度はザレザレの急斜面。
1130m付近でギブアップ。写真中央の小尾根に逃げることにする。
何せザレザレの沢床は踏ん張りがきかない。ズリズリ滑る足元にヒヤヒヤしながらなんとか木の生えている場所までたどり着いた。
尾根の斜度の方が沢床よりもキツかった。でも、木が生えているだけ安全だ。

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そこはものすごい激ヤブ。おまけに激急斜面。あまりに急斜面だから鹿さえ入って来ない。それでこれだけクマ笹が元気なんだろう。と思った。

ホント、こんなひどいヤブ漕ぎは久しぶりだ。でもヤブだからこんな急斜面を登れるとも言える。標高差50mくらいは頑張ったと思う。
突然鹿柵に行く手を阻まれた。少しホッとする。鹿柵があるってことは、登山道までもう少しって事だ。

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鹿柵に沿ってトラバースしながら、ようやく柵の切れ目を見つけた。
その隙間わずか30cm。
肩をすぼめればなんとか通れるが、ザックのサイドにぶら下げたロープやカラビナが引っ掛かる。
何のために、こんな狭い通路をつくったのやら・・・

10時5分。 登山道に飛び出した。
激ヤブ漕ぎの疲れがどっと出て、道端に座り込んでしまった。

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登山道をテクテク歩いて10時25分、水晶沢ノ頭に到着。

ここで大休憩。食事をとり、登山靴に履き替えて、第2ラウンドのV尾根下降に備えます。

10時50分。 雷木沢左岸尾根下降を目指して出発です。
山頂から東側の鹿柵の裏へ回り込む。

ところが!
下降点がわからない。
山頂から尾根の下降点が分かりずらい事はよくある事だが、ここは特にわかりずらい。

「ここら辺かなぁ」と当たりをつけて急斜面を20mほど降りると、尾根っぽい背に乗った。
さらに20mほど下降したが、左手に太い尾根が走っている事に気が付いた。

「絶対あっちが本尾根だ」そう確信した。まず一つ目のミス。
斜面をそろそろトラバースして隣の尾根に移った。

P6090087

この変なコブを回り込んだ1170m地点で二つ目のミス。
明らかに本尾根が続いているように見える支尾根に引き込まれてしまった。
3~40m下って、どうも沢へ向かっているような気がしたので、コンパスをあててみてようやく気が付いた。

登り返す・・・アホや。

続いて1160m地点でも紛らわしい分岐。南へ向かう支尾根の方が本尾根に見える。
でも、2度は騙されないゾ。コンパスを確認して東へ進む。

P6090089

事前に地形図を検討して要注意だと思っていた、進路を南へ変える1100m地点。
ここは意外にもわかりやすい分岐だった。

ところが1050m付近で三つ目のミス。西側の支尾根に引き込まれてしまった。
1170mでミスってからは、常にコンパスを確認しながら下降していたが、同じ方向へ向かう支尾根だったので気が付かなかった。
「沢音が近すぎる。おかしいぞ。」と気付いた時には50mも下っていた。
ハっと気が付きゃ、左隣にも同じような傾斜の尾根が走っている。
観察力が散漫になっていました・・・トホホ

この辺は結構な急斜面で、トラバースは危険そう。
「クソッ!」っとつぶやきながら登り返す。

P6090090

その後も分岐を繰り返す尾根を、コンパスと高度計で確認しつつ下降。
尾根分岐が複雑であるけれど、自然林の良い尾根です。

P6090092

突然鹿柵が現れた。高度計を見ると860m。進路を東へ変えなければいけない地点だ。
脚立で柵内に入った方が良いのだろうか?
でも、柵の中はすごいヤブだ。もうヤブ漕ぎはゴメンだ・・・。

P6090093

しばし考えたが、柵に沿って東の斜面を下ってみることにした。

これが正解!
鹿柵を回り込みながら、狙っていた尾根に乗る事ができた。

P751付近からは仕事道が現れ、楽々とキャンプ場へ降り立つ事ができました。

12時50分 無事用木沢出合のPに帰還しました。

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水晶沢・・・
面白い沢でした。直瀑は一つしかありませんが、ナメ滝・ナメ床は多数あり。
水が涸れた後のクライミングも刺激的でした。
最後のヤブ漕ぎ詰はしんどかったが、これは詰どころの判断を間違ったのだろうと思う。もっと楽な詰ルートはあるんだろうと思います。

そして雷木沢左岸尾根・・・
歩きやすい穏やかな美尾根です。
ただし分岐が複雑でRFが難しい。
だけど面白かったぁ!三つもミスってしまったが、それもまた面白いうち。
久しぶりに未知のV尾根下降の楽しさを満喫しました。

この日は野草との出会いは少なかったのですが、山ツツジがとっても綺麗でした。

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2013/06/05

鳥屋鐘沢

早戸川のマス釣り場の少し上流辺りに流れ込んでいる鳥屋鐘沢。
短いけれど見ごたえのある滝が連なる沢と聞いていたので、前々から歩いてみたいとは思っていた。
だけどヤバそうな匂いも漂わせてる沢だなあ・・・なんて思いもあって、単独で入る事をためらってもいたわけです。これで、けっこうビビリなとこもあるもんで・・・。

今回、師匠のM-Kさんから「鳥屋鐘沢へ行くけど、どう?」なんてメールをいただいたので、こりゃチャンスだ、って事で行ってきました。

こういう急流で人があまり入らない沢の怖さは、ゴルジュや滝の巻き方を間違える事。
ネット上で情報を調べてから入っても、1回の大雨で様子が全く違ってしまう事など当たり前にある。この手の沢は、もとよりルートが確立されているわけじゃない。その場でルートを見極める的確な目と判断力が必要になってくる。経験値で磨いた“カン”も重要だ。
こういう点がオイラも自信無いんだよね。実際、判断ミスで怖い思いをしたのも1度や2度じゃない。いけるとふんで突進した挙句、わずか数mの棚でセミになってしまった事も2度ほどある。
笑い事じゃすまないんだ。命にかかわる事だからね。

この鳥屋鐘沢。やっぱりゴルジュや滝のルート取りは簡単なものではありませんでした。決して高度な技術が必要ではありませんが、ルートの見極めが難しい。
もし単独だったらルートを見つけるのにかなり苦労しただろうと思います。もしかしたら判断をミスって危険な目にあっていたかもです。

今回はベテランの達人たちと一緒だったので、楽しんで歩く事ができました。
ルート見極めのプレッシャーと、ルートをミスった時の危険とその恐怖心を考えなくていい山行は楽しいよね。
短いけれど見所が多い、なかなか素敵な沢でした。

まずはM-Kさんをはじめ、AYさん、EAさん、山猫さんに感謝をしつつ・・・

Tizu17


2013年5月26日

メンバー M-Kさん AYさん EAさん 山猫さん shiro

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8時ごろ早戸川林道のゲートの先に車を停め、早戸川へ降りるとそこは鳥屋鐘沢の出合。

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すぐにナメ。
が、けっこう岩がヌメヌメしていて滑る。
この日はハイパーVの靴を履いてきたが、ハイパーVとは相性悪い沢のような気がする。

P5260013

小滝が続く

P5260018

ここら辺までは楽しい沢歩き。

P5260021

この沢の名物、取水塔。今はもう使われていない施設だが、今でも勢い良く水を噴出している。この先もずっと水を吹き出し続けるんだろうね。
右奥に見えるのはF1。10m弱くらいかな。

P5260029

F1は簡単に巻けるが、その先のミニゴルジュの巻きが最初の難関。

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岩のクラックをよじ登る。これくらいは楽しい範囲。

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F2、20m。
こいつを越すのが大変だと聞いていた。
中央突破はクライマーじゃなきゃ無理。巻くなら右手からだけど、落ち口の高さに大岩が有って、それを越えられるか・・・。なんて思いながら近づくと、大岩にアブミが残置してあった。
おかげで苦労せずに滝の上へあがれたが、危なっかしいアブミだったのでいつまでもつやら・・・です。

P5260042

小滝だが釜が深い。右手から巻く。

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次々と小滝が現れ、飽きる事が無い。

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標高500m付近で堰堤が現れた。この先、大きな堰堤が連なっている。
この沢の名物、巨大堰堤群だ。

この沢の核心はここまでだそうだ。
短い距離だったが、確かに面白い沢だった。
と、同時に噂通り、危険な沢でもあった。
前置きでも書いたが、巻きルートが見極めづらい。よっぽどなれた人じゃないと、すんなりとは巻き上がれないだろう。
もちろんオイラも、単独だったら難しかっただろうと思う。

P5260075

大方の人達は、この辺で沢から上がるのだろうと思う。
が、この日のM-Kさんの計画は行けるところまで沢を詰める事。
そういうのは大好きです。
で、次々と現れる堰堤を越え、ゴーロの沢を上がって行く。

650m付近の二又。ここは左へ。
まだ堰堤群が続く。

P5260079

680m付近の二又。ここも左へ。

ここから先はM-KさんやAYさんも未知のルートだそうです。

P5260082

地形図からはヤバそうな匂いがぷんぷんしている。
予想通り、両岸が立ってきました。

P5260083

倒木の向こうはゴルジュ。その奥には滝。5m程だがほぼ垂直。

EAさんは滝を直登したそうだったが、相談の結果安全策で巻く事に。
が、両岸とも厳しくて巻きも危険そう。
で、少し戻って左岸のルンゼから大高巻きをする。

しかし、この高巻きも危険含みだった。
急傾斜のうえに岩混じりの斜面を手足フル稼働でよじ登る。

こういう高巻きでは、どこで沢へ戻るかという判断が難しい。
AYさんの適確な判断で、ベストな場面で沢へ戻れた。
さすがだなぁ~と感心する。もしオイラ単独だったら、判断が付かずそのまま尾根へ上がってしまっていたかも・・・なんて思った。

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沢へ復帰したら、穏やかなゴーロ帯。
やがて水も涸れた。

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850mの二又で、ここらが上がり時かという事になり、界尾根へ上がる。

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急斜面の尾根だったが、こんな雰囲気の良い素敵な美尾根だった。

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当初の目論見通り、鐘沢ノ頭南西のコルへ上り詰めた。

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栂立尾根からP888へ向かって尾根を下る。

このままおとなしく帰還するのかと思いきや・・・。

M-Kさんが、P888のやや北から進路を北北西にとろうと言い出す。
標高500m付近を水平にトラバースしている旧経路の痕跡を見つけて、それを辿って帰ろうという事だ。

P5260107

標高530m付近でやや危険な崖尾根になった。
なんとか崖を下降する。

P5260109

と、予想通り(というかMASAHIKOさんからの情報通り)、500mで仕事道が走っていた。

P5260114

こんな石積みも残っていた。かつてはかなり立派な経路だったのだろう。

P5260111

もちろん崩れて危険な場所もあったので、気軽に歩いていいルートではない。

P5260118

旧経路の途中で、真北に向かう尾根に乗って早戸川へ下降しました。

 

なんだかんだで盛り沢山の楽しい山歩きでした。

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