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2012/09/24

能ノ爪か熊ノ爪か

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先週も山へ行かなかったぜェ。
日曜日には久しぶりに山へ行くつもりだったんだぜェ。
土曜日の予報で傘マークがついた途端に気持ちが折れたぜェ。
ワイルドじゃ無いだろゥ。
珍しく入念にルート計画を練っていたのに、あっさり中止してやったぜェ。

計画ルートにはヒルの巣窟の通過が含まれていたんだぜェ。
9月の雨の日にそんな所を歩くほどワイルドじゃ無いんだぜェ。
オイラ、ヒルは大っ嫌い。
ヒルだけじゃないぜェ。蛇や虫も大っ嫌い。
自然派を広言しているのに、聞いて呆れるだろゥ。

それじゃあ、ルートを変更して・・・なんて事は全く思わなかったぜェ。
雨に濡れながら歩くなんて、まっぴらごめんなんだぜェ。
ワイルドじゃ無いだろゥ。
「こいつ、言うほど山好きじゃねぇな。」って事は、自分でもちょっと思ったぜェ。

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ってことで、今日も山行の話しじゃないんだぜェ。
本を読んで、スッキリ大発見した。って話をするぜェ。

吉田喜久治の『丹澤記』って本を読んでるんだぜェ。
入手困難なこの貴重な本は、堰堤博士のT.I氏から借りたんだぜェ。
去年借りた本を、ようやく今、読んでるんだぜェ。
ワイルドだろゥ。

もう、打ち込み辛いんで、スギちゃんの真似はやめるぜェ。
いいかげん飽きてきたしな・・・。

実際、この本は面白い。
昭和初期から中期の丹沢の様子がわかって、驚く事、感心する事、目からウロコな事、そんな文のオンパレードだ。

そんな中、1961年の記録に『境川、817㍍』という一文がある。
行程が『あつぎ=土山峠-境川-720㍍-817㍍-カラ沢-宮ヶ瀬=あつぎ』となっている。
ここでハテと考えてしまった。土山峠の周辺に境川なんてあったかな?
地図を見てみたが、やはり無い。
土山峠からカラ沢方面に向かっているなら、境川とは堤川の事かもしれない。
とすれば、817㍍とは鍋嵐の事だろう。720㍍とは鍋嵐の東のP719の事か、あるいは能ノ爪と呼ばれているピーク(740m)の事か。堤川を遡行したなら、能ノ爪に上がった可能性が高い。
などと考えていたわけです。

ちょっと『能ノ爪』について説明します。
宮ヶ瀬尾根と辺室~鍋嵐尾根のぶつかるピークを『能ノ爪(ノウノツメ)』と呼んでいます。
意味不明な名前ですが、丹沢Vルートのバイブル、S-OKさんのHPにそう紹介されていた事で知りました。僕がここを初めて訪れた3~4年前には赤帽白杭にマジックで『能ノ爪』と書かれていました。昔の昭文社のエアリア(山と高原地図)にも『能ノ爪』と記されていたそうです。(この事はFu社のO氏から教えていただきました)
ずっと「能ノ爪ってどういう意味なんだろう?」と思っていたんです。

ところが近頃、誰かが「能ノ爪とは、熊ノ爪の間違いである」と言い出したんでしょう。
ピークの杭は『熊ノ爪』と書き直されています。最近ここを歩いた人達の記録を読むと、「熊ノ爪」と呼んでる人の方が多くなってきたように思います。
この辺は熊の多い山域でありますし、「この山の木に熊の爪痕が残っている」などと説明されれば、納得しやすいですしね。
でも僕は、なにか釈然としないものがあって「能ノ爪」と呼び続けていました。
だって昔のエアリアに「能ノ爪」とかいてあったんだぜ。それが誤植であった可能性があるにしてもさぁ。

さて。丹澤記の話に戻りますね。
行程に続いて、境川(堤川?)の短い説明文があります。
“境川、出合附近はゴルジュ。ただし左岸高みにみちがある。あとはツメまでのうのう。”

読んだ瞬間に頭の中がピカーンと光りました。
“ツメまでのうのう”
そうか~! そうだったのかぁ~!!
堤川を詰めていけば能ノ爪に上がります。“ツメまでのうのう”のピークの事だったんだ。

丹澤記を丹沢歩きのバイブルにしていた人は多いはず。吉田ファンの一人が「のうのツメ」と言い出したとしても、何の不思議も無い。

長年の疑問が晴れた瞬間。
いやはや、気分爽快だったワ。

もっとも、この能ノ爪。清川村地名抄には堤川山と記されていますから、これが正しい山名なのでしょう。
丹澤記ではこの事にも言及しています。
“720㍍は境川山(風土記稿)とはいわないから、もしその名があるとすれば地域称だろう”
ちょっと意味が判りづらいが、清川では堤川山と呼んでいたんだろうね。

さてさて
ここで新たな疑問が・・・。
何故、吉田さんは堤川を境川と書いたのでしょう?

1. かつては堤川は境川と呼ばれていた。
2. 単たる吉田さんの書き間違い。
3. 吉田さんの原稿の字が汚くて、印刷屋が堤を境と読んでしまった。つまり誤植。

僕は3の可能性が強いと踏んでいるのですが・・・どうでしょうねぇ・・・。

そして大事な疑問。
“ツメまでのうのう”の意味は?

こんな表現は聞いたことが無いしねぇ。
語感から察するに“楽勝”って事なのかな?
これは一度歩いてみないとね。
宮ヶ瀬尾根から堤川の方を覗いた感じ、とても詰が楽な気はしないんだけど・・・。

確か・・・。AYさんとkazさんが堤川から能ノ爪へ詰上がった事があったような・・・。
今度会ったら様子を聞いてみよう。

最後に。この場を借りてT.I博士へ。
貴重な本を、長々と借りっぱなしですみません。
もうちょっと貸しておいてください。

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コメント

shiroさん、お早うございます。

今日山へ行く予定でしたが、天候不順であきらめてしまいました。残念です。

「能ノ爪」と「熊の爪」の違いの比較、面白い。
自分は熊の爪痕のせいかと思っていたのですが、これは違うようですね。
昔は「能ノ爪」なので、これが正しいのでしょう。語源探索面白いです。

「のうのう」という言葉、私のふるさと、静岡では「のうのとする」とよく言っていました。意味は、「のんびりしている」というニュアンスです。のんびりしている状態をうらやましがっている時に使う事が多かったです。

ちなみに「のうのうと」をネットで調べてみると、「心配事がなく、ゆったりした気分のさま」となっていました。

投稿: yamajinn | 2012/09/25 08:10

yamajinnさん、こんばんは。
雨で山行中止ですか! 残念でしたね。
昨夜の大雨で、また崩れている場所もあるかもしれませんね。
 
「能ノ爪」と「熊ノ爪」
本当のところはわかりませんが、この丹澤記を読んで、ますます「能ノ爪」に違いないという心証が深まりました。
 
「のうのう」にはそんな意味があったのですか。
ありがとうございます。
確かに「のうのうとする」という言葉は聞いたことがあります。
“ツメまでのうのう”とは「詰までのんびりと歩けるよ」という意味なのでしょうか。
堤川から能ノ爪への詰め上がりは、けっこう緊張感のある急斜面だとは思うのですが・・・。
今度試しに歩いてみようと思っています。

投稿: shiro | 2012/09/25 21:30

【のうのつめ】の考察お見事だと思います。
私も【熊の爪】説は疑問でしたが、
「のうのうと詰め上がる」が
【のうのつめ】は結構説得力あるんじゃないでしょうか。

投稿: ardbeg | 2012/09/25 21:39

奥歯の虫歯の神経を取られて麻酔覚めやらず
フラフラしながらもエンテイと聞いてのうのうと
やって参りますた!
。。。あれ? エンテイは!?

おお、さすがはshiro師、もう読み始めましたか~
小生は喜久治節に目が慣れるのに2年ぐらい
かかった気がします。
もっぱら寝床で拝読しましたが、通読するのに
さらに1年ぐらいかかった気がします。
お節介な編集者が絡んじゃったりすると全部
書き直されたりするのかも知れませんが、
目が慣れると喜久治節も味がありますですね。
「日本の古本屋」で「吉田喜久治」を検索すると
いっぱい出てきますので、残念ながら稀観書では
なさそうです~
(小生も確か1000円ぐらいで買いました)

今後ともエンテイ情報をよろしくお願い致します<(_ _)>
歯が痛くても丹沢はよいと申します。

投稿: TI-AEK31 | 2012/09/25 22:54

ardbegさん、こんばんは。
僕も『熊ノ爪』には違和感を持っていました。
賛同いただいて嬉しいです。
丹澤記の文を読んだ瞬間に、ハっと思ったんですよ。
この本、他にも興味深い記述が満載です。
丹沢好きにはオススメの本です。

投稿: shiro | 2012/09/25 22:56

T.Iさん、こんばんは。
あれあれ。今度は虫歯ですか!?
どうぞお大事に・・・。
 
興味深い本を貸していただいて、本当に有難うございます。
あの分厚さに怖気づいてい、なかなか手が出ませんでしたが、読み始めてみると面白い面白い。
と言いながらも、遅々とよみ進めていますが・・・。
いちいち地図と照らし合わせたりしながら読んでいるので、完読するにはもう少し時間がかかりそうです。
他の2冊と共に、今しばらくのご猶予を・・・。
なにとぞ、お願い申しあげます。

>喜久治節も味があります
ですね~。あの毒舌っぷりには、口の悪い僕も唖然としてしまいます。
誤字も多いし、地名も「書き間違いでは?」と思われる部分も多いし・・・。(あ・・これは拙blogもそうですが)
当時の編集者は大らかだったんですかねぇ。

投稿: shiro | 2012/09/25 23:19

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