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2011/06/23

いつかは大タル丸・・・って思ってたんだ

あれはいつ頃の事だっただろう。まだVルートなんて歩いてもいない頃の事だ。

檜岳から北側の山稜を眺めていた。端整な山並みだ。なんて山なんだろう。エアリアを広げてみると、『大タル丸』『女郎小屋ノ頭』と書いてある。登山道は無い。でも、今度はあそこへ登ってみよう・・・そう思った。

その後、「どこから登ればいいのだろう」といろいろと調べてみると、自分なんかが気軽に行けるような山ではない事がわかってきた。丹沢でも屈指の秘境度と危険度。

それ以来ずっと思っていた。

いつかは大タル丸・・・

2011年6月19日

数週間前。西沢へ向かう車中でだったと思う。M-Kさんと大タル丸~女郎小屋ノ頭の話で盛り上がった。一昨年、この危険な山域からの引退を宣言した師匠ではあるが、宣言を撤回すると言う。私にとっては「いつかは大タル丸」と暖めている、未踏の山域だ。「近々行きましょう」との約束が、この日実現しました。

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まずはルート図。お判りだろうか、おバカ加減が。この山域を知っている人なら、これを見て「迷ったな」と思うだろう。でも、決して迷走しているわけではない。あえて、このルートを選んで歩いているのだ。なんてバカな連中なんだ・・・。

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で、この日のおバカオヤジ達。師匠M-Kさんを先頭に、ardbegさん、レガーさん。そしてshiroの4名。レガーさんとは初対面です。まだお若い方ですが、幼少の頃から丹沢を駆け巡っていると言う強者だ。

8時頃。仲ノ沢林道から仲ノ沢径路に入る。てっきり芋ノ沢ノ頭から大タル丸の稜線に乗るのかと思っていたが、M-Kさんはそんな甘っちょろい事はしないと言う。「仲ノ沢径路の途中から小川谷に降りるのだ。」と・・・。「へ??」ッて感じですが、我等が師匠がそう言うのですから・・・。

P714の尾根の鞍部を越した辺りから、「小川谷に降りれないか」と言われる。下降できそうな斜面を探りながら歩くが、いやァ・・・こりゃ無理でっせ。傾斜が厳しすぎる。

それじゃあ、P852の尾根の鞍部辺りからならどうだ? と覗いてみると、この枝沢なら何とか降りられそう。

で、水がチョロチョロ流れる名も無き沢をザザザっと降りる。最後は5mの滝だったが、左岸を巻いて小川谷に降りる。

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降り立ったのは稗畑沢出合。小川谷の下流部を見ても上流部を見てもゴルジュ。

おお~。スゲェ場所に降りてきたなァ・・・。

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で、ここから目の前の尾根に登るのだ・・・とM-Kさん。小川谷のゴルジュの真っ只中に降りて、それを横断するなんて事は、「スッゴイ事なんだ」とM-Kさんははしゃいでいる。この山域に初めて踏み入れたオイラには、そのスゴさがピンとこないが、つられてはしゃいでしまう。なんかスッゲェ事をしてるんだな。

でも、目の前の尾根の先端は断崖絶壁。さすがにこれは登れませんゼ・・・。

で、上流に歩きながら取り付けそうな斜面を探る。

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取り付いたのは藪の急斜面。でも、この尾根に取り付くならここしかない。この先上流側は、ますます斜面が立ってくるばかりだ。

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せっかく這い上がった尾根なのに、今度は反対側へ下降せよと言われる。

Why? なんで!?

どうやらオイラが、「どうせなら白ザレのピークから大タギリを通過したい」と言ったらしい。そのためには、もう1本向こうの尾根に乗らないといけないんだね。

そうは言ってもこの尾根、両側ともそうとう立っている。さすがにちょっと、降りる気になれないくらい立っている。

なんとか降りれそうな斜面を見つけて、それでもardbegさんにロープを出してもらって下降する。

そしてオオタギリへと伸びる支沢に降り立った。

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さて、今度は対岸の尾根に這い上がるのだ。バカとしか言いようが無い。だけどさっきの尾根よりも切立っているんだ。とてもじゃないけど登れない。

少し上流へ登って、緑が綺麗な涸れ沢を見つける。尾根に上がるならここしかない。そう思った。オオタギリに近づけば近づくほど、斜面は立ってくるに違いない。ardbegさんは、このままこの沢をオオタギリまで詰めてみたいと言うが、それでは白ザレのピークへ上がれない。

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這い上がった涸れ沢の中盤は物凄い急斜面。その上ボロボロ。ボロボロの斜面につま先を蹴り込みながら這い上がる。でも、こういうのは嫌いじゃない。岩や水は苦手だけれど、土の斜面なら得意だぜ。

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詰め上がった尾根は恐ろしいくらいのヤセ尾根だった。ずいぶん丹沢の尾根を歩いてきたけど、こんなに険しい尾根は他に有ったか。こんな所に立てるなんて・・・。スゴイ事をしてるんだなァ・・・。

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尾根に乗って、「ヤレヤレ。白ザレのピークまでもう一息だ。」と思ったら、今度はキレット。

再びardbegさんにロープを出してもらって下降。そして笹を掴んで這い上がる。

なんて、サラッと書いたけど、とても危険なキレットでした。個人的にはこの日一番緊張した場面。

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ようやく白ザレのピークにたどり着く。

お疲れ様・・・。ここまでホントに疲れた。でも・・・今日の目的はこれからだった。白ザレのピークから女郎小屋ノ頭まで歩く事。

一休みしたら、オオタギリへ向かって出発だ。

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丹沢一のキレット、オオタギリの下降。フィックスロープが有るからいいものの、ほぼ垂直斜面。

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そして今度は登り返し。こっち側にもロープがフィックスしてある。

これが、あの恐れていたオオタギリか・・・と、思うくらいあっさり通過。でもそれは、ロープがフィックスしてあったからだ。その昔は、ロープなど無かったというから驚きだ。下降は自前のロープをセットして降りりゃけど、登り返しはどうする? ここをフリーで登ったのかい?

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そして・・・

ついにやってきました・・・

大タル丸

『いつかは大タル丸』が実現した瞬間。

感慨ひとしお・・・。

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今度は女郎小屋乗越へ向かって下降する。

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またもや難関の女郎小屋乗越。

本当に飽きさせない山稜だ。こんなに危険地が続く尾根は、やっぱり丹沢で一番の秘境かもしれない。

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ロープを掴んで這い上がるレガーさん。

ここはardbegさんがバイルで足場を切りながら登って、上からロープを下ろしてくれた。

本当に頼もしい人だ。

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そして女郎小屋ノ頭へたどり着きました。とりあえず今日のミッション成功です。

さて・・・

帰りましょうか・・・

おバカな男達は、選ぶ帰路もまともじゃない。もっとも、この山域にまともなルートは無いけれど・・・。

次のピークから東沢へ降りようと。

理由は・・・誰も歩いてない尾根だろうから・・・。

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女郎小屋ノ頭の東にもキレットが有ったけれど、もうこのくらいじゃ可愛いもの。そこを越えてピークへ登る。M-Kさんがオオギリ山だと教えてくれた。

ここから北の尾根を下降します。

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この尾根もまた、秘境感溢れる尾根だった。

こういうほとんど人が入った形跡の無い尾根を歩く時って、妙に嬉しくなったりするんだ。

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途中で降りやすそうな(と言っても、かなり厳しい傾斜だけれど)涸れ沢を見つけて下降する。

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無事に東沢へ降り立ちました。

が・・・なんかイメージが違う。こんなガラガラとした沢だったかなァ? ここもまた、去年の台風で崩れてしまったのかもしれない。

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あとは勝手知ったる道。久しぶりに東沢のナメ滝を楽しんだり、ケヤキ平のワサビ田跡が鹿柵に取り囲まれてしまったのに唖然としたり、仲ノ沢径路の崩壊地に新しいステップが切られて通りやすくなった事を喜んだり。

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いやはや・・・お疲れ様でした。15時45分。無事に仲ノ沢林道に帰着しました。

こんなに凝縮されたコースが、今まであっただろうか。ホント、盛り沢山だった。おバカ満載・・・

M-Kさん。こんなコースは師匠しか考え付きません。楽しい山遊びをありがとうございました。

ardbegさん。キレットに先陣切って飛び込む姿、頼もしかったです。

レガーさん。メチャクチャな山行にニコニコ付き合っていただいて・・・。これからもヨロシク。

 

そしてあらためて思いました。

やっぱりオイラ、ヤブ尾根歩きが好きなんだ。

沢よりも。

 

 

今日の花

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ヒメレンゲ

イメージとしては5月の花だけれど、奥地の小川谷周辺では今が盛り。渓流に似合う花だよねぇ。

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コメント

shiroさん、
先日は本当にありがとうございました。
緊張感は連続してありましたが、楽しさが身体を支配していたらしく、疲労感はまるでありませんでした。
男4人泥だらけ、最高の遊びをしてしまいましたね。
危険な遊びだけでなく、ふと立ち止まり可憐な草花を観察する知識の豊富さに、私も見習いたいと思いました。
皆さんとの山での出逢いに感謝です。
これからも宜しくお願い致します。

投稿: レガー | 2011/06/23 09:12

shiroさん

おバカなお付き合い誠にありがとうございました。

西沢辺りの激藪コギ、今回の激尾根、激ザレ登り、
丹沢では我らが出来る限界のお遊びだったと思い
ます。

いやはや・・、楽しかったス!(^^)v
もう終わりにしますか?
まだ、やりますか~?(^^);

投稿: M-K | 2011/06/23 10:26

shiroさん

当然、またやりますよね。
でも今週末は天候悪そうだし...
う~ん、次回が待ちきれない。

投稿: ardbeg | 2011/06/23 13:08

レガーさん、こんばんは。
本当に楽しい山歩きでした。
男4人、泥んこになってネ♪
もちろん、家へ帰って怒られました。
2週連続でドロドロでしたから。
 
>危険な遊び
危険な事をしてはいけません。それが山遊びの鉄則です。人によって得意、不得意があって、危険な度合いも違いますけど。
危険だと思う事はしないでおきましょネ。楽しい山遊びを続けるためにも。
 
これからもよろしくお願いします。
是非是非!

投稿: shiro | 2011/06/23 20:18

M-Kさん、こんばんは。
本当に楽しい一日でした。
まさか小川谷を横断するとは!
ましてやまして、その後、あんな厳しい尾根を乗り越すとは!!
まさしくおバカワールド炸裂でした。
 
いやはや・・・
もう終わりにしましょうか・・・。
って、ウソです。ウソです。
今度は東沢から沢詰めで女郎小屋乗越へ・・・なんて考えています。

投稿: shiro | 2011/06/23 20:22

ardbegさん、こんばんは。
ヤブ尾根遊びなら、いくらでも!
 
それにしても、ardbegさんの勇敢さと豪胆さには舌を巻きました。
またよろしくお願いします。
 
今週末は雨かァ・・・。
さすがに雨だとあの山域はヤバイですね・・・。

投稿: shiro | 2011/06/23 20:27

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