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2011/01/23

世附をパトロールしてきました

昨年9月の台風9号で大被害を受けた西丹沢。特に世附の山域は記録的な豪雨で林道が壊滅状態だとか。

その後どうなっているのでしょうか?

県のHPを開いても、相変わらず『通行不可』と書いてあるだけで詳しい情報がわかりません。台風直後には、徒歩でも通行できないという話を聞きましたが、4ヶ月経った現在ではどうなんでしょうか?ネット検索しても詳細を書いているサイトがヒットしません。

ならば、自分で見回りしてくるしかないか。

3月になれば、今年もまた世附の沢でネコノメ探しをしなければならないかからね。林道が通れる通れないによって、ネコノメ探索計画が大きく変わってきちゃうのさ。

という訳で、世附のパトロールに行ってきました。いやはや・・・。水ノ木幹線林道は凄い事になってたよ・・・。

まあ、興味ある人は読んでちょうだい。

Tizu2

1月22日

7時40分。上ノ原に車を止めて二本杉峠に向かって歩きだす。

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二本杉峠から千鳥橋までの間は、エアリアでは赤破線コースだが、だいぶ崩壊が進んでいる。これも台風9号の影響だろう。普段Vルートを歩いている人なら問題は無いが、もう登山道とは言えない状態だ。

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9時5分。大又沢幹線林道の千鳥橋へ降り立つ。ここから地蔵平方面は、昨年11月に歩いて、徒歩なら問題無い事は確認済み。今日は下流側へ向かって歩きだす。

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あらビックリ。大又ダムのダム湖が土砂で埋まっている。もう湖じゃ無い状態。

さて、ダムの下流で法行沢林道へと入ります。

今日の目的の一つは、法行沢大滝を見物する事。以前、AYさんと大滝を見るために法行沢橋から沢へ入ったのですが、前衛のゴルジュに阻まれ滝壺まで行けませんでした。(その時は沢靴では無かったので) 今日は、登山靴で滝壺へ降りられるルートを探そうと思います。

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こんなガードレールの脇に、怪しい踏み跡を発見。位置的にも大滝の真横ぐらいのはず。

ヤブを掻き分けて踏み跡を辿ると、やっぱり滝を見下ろせる尾根の突端に出ました。ただ木々が邪魔で、眺めはあまりよろしくない。

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崖のような斜面にロープを垂らして、20m程下降して窪地に降ります。窪地をさらに20mほど降りると、滝壺に降りられました。

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スッゲェ・・・。大迫力だ。3~40mは有るだろう。写真だとショボく見えるかもしれないけど、これは写真が下手だから。実際は見事な大滝だ。一見の価値は十分に有る。

滝は3段に別れているが、中段は岩に隠れて滝壺からだと見えない。中段を見ようと思ったら、岩壁をよじ登らなきゃいけないけど、オイラのスキルじゃとても無理だ・・・。

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下段の10mだけでも見る価値のある美滝だ。

さあ、念願だった法行沢大滝を見物した後は、再び法行沢林道へ戻ります。

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林道は相当ダメージを受けています。そして、美しい法行沢が土砂と倒木で無残な姿。林道からでも魚の影が見えるような清流だったんだぜ・・・。

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あっちこっちで陥没してたり崩壊してるけど、歩く分には問題無さそう。

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中法行橋から上流を眺める。ここからみる分には荒れてなさそう。なんたってこの沢の上流部はネコノメ達のパラダイスなんだ。土砂で埋もれてしまったら、ネコノメも全滅だろうからね。

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中法行橋から先の林道は、さらにヒドイ状況だった。こりゃ、修理するのは大変だ。もしかしたら、このまま廃道になるかもね。

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林道の終点地点。目の前のカヤトの尾根を登っていけば椿丸です。椿丸へは何度も行ってますが、このルートで登るのは初めてです。

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カヤトを掻き分けながら尾根を登ると、やがて植林の尾根に変わる。傾斜はなだらかで歩きやすい。

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11時半。椿丸に到着しました。ここへ来るのは久しぶりです。『椿丸』と書いた手書きの山名板は無くなっていました。

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織戸峠への分岐点。この樹には『(仮)大五郎丸』とか『←織戸峠』とか書かれたテープがベタベタ貼られていたのですが、綺麗に無くなっています。が、大五郎の空き瓶だけは相変わらず樹の根元にはまっています。

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なだらかで気持ちの良い、椿丸の西尾根を歩きます。以前はベタベタ貼られていたマーキングテープも今は一切無い。そんな事もさらに気持ちが良い。

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山神峠に降り立ちました。山神様の祠は無事のようです。ちょっと傾いていますが、これは前からこんな感じだったかなァ・・・。

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先日、ここの山神様には菊の御紋が入っているという話を聞きました。お参りをしてから良く見ると・・・なるほど・・・薄っすらとだけど菊の紋章が刻まれている。花びらの数を数えてみると16枚。天皇家の紋章だ。

ふ~ん・・・。天皇家とどんな関係があるのだろうか・・・。

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さて。山神峠から西側の沢へ降りようと思っていました。ここはその昔、水ノ木と浅瀬を結ぶ古道でした。ここから水ノ木へ向かう西側の沢は、まだ未踏なんです。

ところが、峠から沢の源頭を覗いて唖然・・・。崩壊している。以前見た光景とまるで違う。これも台風9号のせいか・・・。こんなに崩壊していたら、古道の痕跡も何もわからない。この先の沢筋がどうなっているかもわからないし・・・。

と、今日のところは古道探索を断念。“今日のところ”はね。

尾根筋を南へ向かう。山神山から三保山荘へ降りる尾根には乗らず、真南へ降りる尾根に乗る。どうせなら未知尾根を歩きたいからね。

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尾根の途中で建物発見。水ノ木雨量観測所だって。ここから下は、はっきりした径路がありました。

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左の径路から降りてきて、水ノ木幹線林道に降り立ちました。土沢出合のやや浅瀬よりの地点。このくっきりとした径路、いつも気になっていたんだ。雨量観測所の作業径路だったんだね。

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林道を浅瀬に向かって歩きます。崩壊の後はありません。キャタピラの轍もついています。もう修復が済んだんだろう、などと思いながらのんびり歩きます。

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左手の奥、林道から100mくらい奥まった所に滝です。場所は山百合橋の400m程手前の地点。何度もここを歩いているが、あんな滝見た事がないぞ。20mほどの高さのそれなりに立派な滝だ。先日の台風で新たにできた滝だろうか? それとも、林道からは隠れて見えなかったのが、手前の斜面が崩壊して見えるようになったのだろうか?

ところで、ここはなんという沢だろう? 家へ帰ってから『西丹沢頂稜河川図』を調べましたが、名前の載っていない沢でした。

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13時。山百合橋です。よく見りゃ、鉄の橋桁がひん曲がっている。いつ崩れ落ちるかわかんねぇじゃん。まあ、歩いてわたる分には平気だろうけど。

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おや。ユンボと車が止まっている。この辺りの山を仕切っている、湯山林業の車だ。そうか。もう林道は開通したんだな。なんてこの時点では思っている。

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林道から、三保山荘の吊橋が傾いて見えた。そばまで行って見ると・・・一部が壊れている。渡れない事はなさそうだけど・・・。

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吊橋の少し先で林道が崩壊している。さっきの車はどこから? もしかしたら明神峠からはるばる回りこんできているのかもしれない。

ここは5mほどの高巻きで簡単に越えられた。

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続けてまた崩壊。ここを高巻こうとしたら、相当上まで上がらないとダメそう。で、河原へ降りる。

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河原から林道を見上げる。こりゃヒドイ・・・。

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崩壊地の下を抜けると、水際を歩けなくなるので、再び林道へ上がる。上がるルートはこんな岩場だ。雨の日は滑る事、間違い無い。

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林道へ上がって少し歩くと、再び崩壊。呆然とする。これはいったい・・・。

瞬間的に「こりゃ無理だ・・・」と思った。思ったが、何とか越える方法を考えなければいけない。比較的危険無く行ける所まで行って、よく観察をする。が・・・やはりルートが見えない。

考えられる方法は3つ。

1.無理矢理トラバース   無理すれば行けそうな気もするが、かなり危険だぞ・・・。

2.河原へ降りる。 ロープがあるから降りるのは降りられる。だがその後、川を渡渉しなければならない。水深ひざ下くらいは有りそうだ。こそ時季に、凍てつく水に浸かりたくない・・・。

3.高巻く   上の様子がよく見えないが・・・

考えた末、高巻きを選択。これが最悪の選択だった。

45度超の崖斜面をよじ登る。岩尾根はだんだん立ってくる。30mほど登っても、崩壊斜面はトラバースできそうも無い。逆に崩壊斜面もだんだん立ってくる。「ここまで登ってきて、行き詰ったら最悪だな」と思いがよぎる。さらに10m登った所で、その通りになってしまった。切り立った大岩で行き詰る。

しかたない。今登ってきた斜面を今度は下降だ。登る事は登れたが、下降はロープ無しじゃ無理。持ってるロープは20mだから、1度に下降できるのは10mまで。途中で丈夫そうな樹を見つける度に、ロープを仕込みなおす。

「あそこまで登る前に気が付けヤ!」と、自分に腹が立つ。

元の位置に戻って、再び考える。

トラバースしよう・・・。

倒木にロープを巻いて、ソロソロと崩壊斜面へ降りる。水平ロープなんて、滑ったら利かないのはわかっているさ。それでも、10m下の河原へ叩きつけられる事だけは避けられるだろう?

崩壊斜面の途中でロープが足りなくなる。わかってはいた事だが。ロープを回収する。ここからはさらに慎重に。1歩づつ、足をぐりぐりさせて足場を作りながら進む。その間にも、上からガランガランと石が降ってくる。ピンポン球くらいの石が太ももに当たる。「イテェよ、バカ!」と言ってもしかたないが、声に出さなきゃ気が済まない。

今まで何度も、崩壊斜面はトラバースしてきました。古道探索なんてしていると、しょっちゅうぶち当たるからね。経験から、これくらいの角度ならじゅうぶん行けると判断して踏み切りました。でも、マジ怖かった。今迄で一番怖かった。もし足を滑らせたら、10mの擁壁を転げ落ちて、河原に叩きつけられる。

なんとかトラバ成功・・・。全身の力が抜けて、座り込む。精根尽き果てた感じだ。

完全に判断を誤った。河原に下りるべきだった。足が冷たい水に濡れたって死にゃしない・・・。

丹沢歩きをしている皆さん。

水ノ木幹線林道を歩くのは無理です。芦沢橋と悪沢出合の間が、大崩壊しています。ここを絡めた山行計画は見直したほうがいい。

もし、どうしてもここを通過しなければならない時は、芦沢橋から左岸の河原に下りるべきでしょう。左岸側の河原は、歩くには問題無さそうに見えました。崩壊地を過ぎてから川を渡渉するしかないでしょう。水深はヒザ下くらいですが、探せばくるぶしくらいの渡渉ポイントも有るかもしれません。

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一気に疲労感に包まれながら、浅瀬へと向かいます。

ワオ! 道路が落とし穴になっている・・・。

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後を振り返って。もう、林道と河原の区別がつきません。世附峠へ向かう吊橋は跡形も有りません。

ここは、林道から川まで5mくらいの高低差があったような気がする・・・。土砂で川が埋まってしまったんだ・・・。巨石がゴロゴロとしている河原だったはず・・・。

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浅瀬の門番さんの家が見えた。半壊している・・・。

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これが今の浅瀬のゲートです。

水ノ木林道の惨状、想像を絶するものでした。

重要な林道だから、修復工事はするだろうと思いますが・・・当分は通行不可だね。マジで危険です。特に雨の日や暗くなってからの通過は絶対にやめた方がいい。

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14時45分。浅瀬のゲートを通過。権現山を越えて上ノ原へ戻るつもりだったが、もう一山越える気力は残ってない。車道をトボトボと歩いて戻る。

傾きかけたお日様が丹沢湖に煌く。

今日はずいぶん歩いたなァ・・・。ヘトヘトだ・・・。

後でロガーのデータを見たら、23.5kmも歩いてました。

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コメント

shiroさん

記録を読み正直ハラハラ・ドキドキでした。無事に帰還出来結果はオーライでしたが、今回は大分無謀のコース取りだったですね。無事帰還、遭難、ビバークの共に紙一重だったと思います。林道が崩壊している場所が現実にあり、その付近の情報が無いのに周回コースの最後にその部分を通過しなければならない・・というのは危険でしたね。「そんな事は百も承知の助よ!」だったでしょうが本当に無事のご帰還おめでとう・・と申し上げます。爺の苦言、お許し下さい。

投稿: M-K | 2011/01/24 01:16

おつかれさまでした<(_ _)>
ご無事のご帰還、何よりです。

情報ありがとうございます。
当地のエンテイたちは無事か?と
気になっておりました。
と申しますのも、エンテイは土砂止めと
傾斜緩和が目的ですが、今回のような
豪雨では決壊することもあり、そうすると
溜まってた土砂が一気に流れて土石流に
なるっぽいです。

TVで人家の半壊現場がチラと見えましたが、
あれ山腹水路工に沿って崩れてましたよね。
木を切ってコンクリを打つ治山工事で
むしろ被害が拡大した例じゃまいか?
と夜も寝られずにおります~

早々に小生も参上。。したいところですが
年度末締め切りの迫る今日この頃(泣)

取り急ぎ現地レポ御礼申し上げます<(_ _)>

投稿: T.I. | 2011/01/24 04:19

shiro さん

単独でこのような状況に遭遇して、さぞ大変だったでしょうね。
無事に帰れて本当に良かったと思います。

昨日、コラボでM-Kさんから世附はどうなっているだろうか?
という話題が出ましたが、誰も最新情報を知りませんでした。
ですから、このレポはとても貴重なものだと思います。
思いますが、すこぶる危険な状況でしたね。
私もM-Kさんの感想に同感です。

それからロープを持っていることで危険箇所で
無理をしてしまうことがあるかもしれない?
状況にもよりますがロープのみでは危険が伴いますので、
くれぐれもご注意くださいね。

改めて貴重な情報に感謝です m(_ _)m

投稿: はっぴー | 2011/01/24 09:45

M-Kさん、こんばんは。
スミマセン・・・
後から考えると、コース取り自体が無謀でした。確かに、情報の全く無い水ノ木林道を通過しなければ戻れないコース取りはすべきでありませんでした。
言い訳すると・・・。崩壊があるとしたら、山百合橋と芦沢橋の間だろうと予測はしてました。ただ、あの間は河原が広く、堰堤も無く、水流は真ん中を流れているので、いざとなれば河原を歩けると楽観していたんです。まさか水流が変わって、右岸側に河原が無くなっているとは・・・。
M-Kさんのご忠告、肝に銘じます。

投稿: shiro | 2011/01/24 20:07

T.Iさん、こんばんは。
スミマセン。エンテイ達の事は、よく観察しませんでした。
ただ、見た限りでは決壊した堰堤は無かったと思います。が、土砂で埋まってしまった堰堤はたくさん有りました。世附川の堰堤など全て埋まってしまっています。川底が5m位は上がっているように思いました。
浅瀬の主さんの家の横は、山の奥までコンクリ堰堤がずらっと並んでいるのが見えました。あそこは小さな沢だったんですね。そこを土石流が流れ落ちたんでしょう。
それよりも・・・。
世附山神峠の山神様の菊の御紋の意味。なにか調べれられませんでしょうか?

投稿: shiro | 2011/01/24 20:16

はっぴーさん、こんばんは。
崩壊斜面のトラバなどいつもの事ですから、渡る前は特に「大変な状況だ」とは思わなかったのですが・・・。
角度的には全然行けそうな斜面でした。
でも、渡っている途中に恐怖心に襲われ、渡り終わってから、危険な事をした自分自身に落ち込みました。
決してロープを過信しているわけではないのですが・・・。「ロープさえあればどこでも降りられる」なんて思うのは、思い上がりですよね・・・。反省します。
一応、スリング、カラビナ、エイト環は持ち歩いています。よほどでないと使いませんが・・・。
ご忠告ありがとうございます。
世附の状況、参考になれば幸いです。

投稿: shiro | 2011/01/24 20:32

改めて拝見しますた~
山腹につけた林道の崩壊現場、盛り土して
側面をコンクリで固めただけのところが
軒並み崩れてる、と解釈してOKでしょうか?
下からの川の流水と、上からの山の流水で、
中身の盛り土がごっそり持ってかれて、
水抜き穴もなくただ張り付いてただけの
コンクリ壁はヨロメクしかなかった、と。

投稿: T.I. | 2011/01/28 23:38

T.Iさん、こんばんは。
う~ん・・・
土木に関しては無知なので、よくわかりません。
というか、質問の意味がよく判りません・・・。coldsweats02
申し訳ない・・・。
崩壊している場所は、上からの土石流でつぶされているのは間違いありません。
不思議なのは、大崩壊している場所は、沢ではなかったという事。窪地ではあったのかもしれませんが、あそこには元から水流は無かったと記憶しています。
 
コンクリ壁のヨロメキに関しては・・・コンクリをそういう目で見た事が無かったもので・・・。
今後、注意して見てみます。
“ヨロメキ”はよろしくないですからネ。

投稿: shiro | 2011/01/29 22:08

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