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2011/01/17

尊仏参り

1月16日

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一番バスで日が昇ったばかりの大倉に下りる。朝7時を少しだけ回っていた。

寒い。とにかく寒い。7時10分。支度をしてバカ尾根に向かって歩きだす。

そう・・・。今日はバカ尾根で塔ノ岳へ登るんだ。たまにはバカ尾根も歩かなきゃね・・・。バカなんだからサ。

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数日前から気持ちはかなりダウンしていた。特に原因があるわけじゃない。いつもの病気だ。

こんな時に山歩きのモチベーションなど全く無い。それでも、大好きな山を歩けば、少しは気も晴れるかもしれない。

だけど、いつもみたいに緊張したり冷や汗を流したりはしたくないんだ。とてもそんな心境じゃない。今日は、登山道を歩こうと決めてきた。“良い子”の山登りをするんだ。地図も見ない。コンパスも見ない。ただひたすら、黙々と歩きたいんだ。

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悪評高き花立の階段。久しぶりだなァ・・・ここを登るのは。2年ぶりくらいかなァ。人がワサワサいるから敬遠しているけれど、別に嫌いなわけじゃないんだ、このバカ尾根。わざわざ1番バスで来たかいあって、人もまだ少ない。なかなか良い尾根だぜ。だいたい標高差1200mを2時間半で登れる尾根なんてそうそうは無いだろう。それも、こんな階段のおかげさ。なんだかんだ言ったって、階段はとても歩きやすい。・・・と、いつもバリ尾根を歩いていると、つくづくそう思う。

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9時40分。塔ノ岳山頂に到着。ピッタリ2時間半だ。

そしてご褒美はこの富士山。富士山ってのは不思議な山だ。どんな山だろうと、とにかく山頂でその姿を拝めば、「ああ・・・登ってきて良かったァ」と思う。

さてさて

今日塔ノ岳に来た目的は、尊仏岩に参拝をしようと思ったからなんだ。

丹沢好きなら誰でも知っているだろうけど。その昔この山には“尊仏様”とか“お塔様”とか呼ばれる高さ17mもの大岩が有って、信仰の山だったそうな。関東大震災で崩れ落ちてしまったんだって。

たいていのガイドブックやHPには、『尊仏岩は山頂に立っていた』と書いている。

ところがだ。そうじゃないんだって。尊仏岩は山頂から3~40m下った北斜面に立っていたらしい。現在は、崩れ落ちた岩の根元だけが残っているらしい。が、その場所はちょっとやそっとじゃ見つけられない、判りづらい場所なんだって。

その尊仏岩を探しあてて、今年の山歩きの安全を祈願しようと思ったんだ。

まずは尊物山荘に入って、コーヒーを注文する。こんな凍てつく山頂、外で休憩なんてしてられない。小屋番さんに尊仏岩の場所を聞こうかと思ったが、いやいや・・・止めておこう。まずは自力で探してみよう。

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15分ほど休憩して、小屋を出て北斜面を降りはじめる。同じ山でも南斜面とこんなにも違うものか。南斜面では薄っすらだった雪が、こっちでは15cmも積もっている。「アイゼン着けたほうがいいかな」とも思ったが、今さら雪の中に座り込んで装着する気にもなれない。

雪の中をウロウロと探し回る。見つからない。日の当たらない北斜面の寒さは半端じゃない。皮手袋をはめた手の感覚が無くなる。きっと凍傷になる時ってこんな感覚なのかなァ・・なんて思ったりする。決して大袈裟じゃない。本当にそう思うほど冷たかった。急斜面をトラバースしたり降りたりするために、凍てついた木々を掴んでいるうちに、手が凍りついたような感覚になったんだ。

全く手がかり無しで来たわけじゃないんだ。イガイガさんが数年前に探し当てた時の記録は何度も読んで頭に入っている。

それでも見つからない。

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同じような所を行ったり来たりしながら、30分くらい探し回っただろうか。斜面の下に、「オヤ!?」と思うコブが目に入った。カメラを向けてズームにして覗く。「アレじゃないか?」と思った。イガイガさんの記録に載っていた写真に似ている。雪をかぶっていて、はっきりわからないけど。

とにかくあそこまで降りてみよう、と思ったが・・・。急斜面を降りなければならない。しかも頼れる樹は疎らでほとんど生えていない。急斜面を降りた先は、ナイフエッジのヤセ尾根だ。そのヤセ尾根の先端に怪しいコブがあるんだ。

急斜面ではあるが、降りられない角度ではない。雪さえなけりゃ、ジグザグに降りる踏み跡が有るのかもしれない。でも、雪が積もっていて、ルートが読めない。もし、雪の下が岩だったら・・・凍っていたら・・・。いつになく恐怖心が湧き上がる。雪の斜面を歩いた経験がほとんど無いから、なおさらかもしれない。

でも、ここで引き返すわけにはいかないだろう? クソっ! ロープさえ有れば・・・。今日は、いつもザックに常備している20mザイルもスリングもカナビラもエイト管も、全て置いてきてしまった。だって、“良い子”の登山には必要無い物だからね。かろうじて“良い子”になりきれない悲しさか、6mm5mの細引きだけをザックに忍ばせていた。こいつだけが頼りだ。

恐る恐る雪の急斜面に踏み出す。傾斜が一番きつい所に細引きを仕込んで、ソロソロ降りる。一歩一歩確認しながら、ナイフエッジを渡る。

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やっぱりそうだった。ホラ! 小さな石塔に『尊物』の文字が読める。

静かに手を合わせてお祈りをする。

ああ・・・なんだか清々しい。

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フと横を見ると、木々の間から富士山が見えた。

気持ち良さに包まれる。

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そして意気揚々と山頂へと戻る。

なんだかホラ。さっきまでは陰気で邪悪な感じがした雪も、キラキラとしてとっても綺麗だ。

山頂へ戻ったのが10時40分。次の目標は鍋焼ウドンだ。と、休む事も無く鍋割山へと向かう。

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薄っすらと雪がついた稜線を、快調に飛ばす。

今シーズン3回目の鍋焼きチャレンジだ。過去2回ともありつけなかった。今日はなんとしても食べたいんだ。人気の鍋焼ウドンは昼時になると大混雑は必至だ。急がなければ。

11時25分。鍋割山頂到着。うわ・・・けっこう人がいっぱいだ。山荘に飛び込む。そこそこ混んでいる。が、鍋焼ウドンを注文すると、10分ほどで出来るという事だ。

ヨッシャ!

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久しぶりの鍋焼ウドンだ。美味いんだなあ、これが。3度目でようやくありつけた。

なんだか昔に比べて、盛り付けが雑になった気もするけど・・・。昔はもっと美味かった気もするけど・・・。いやいや、気のせいさ。美味い美味い。

さて、帰ろう。時計を見ると11時50分。大倉バス停でメモしてきた時刻表を見る。急げば13時38分に間に合うか?

登山道を小走りで駆け下りる。ギリギリの13時35分に大倉到着。

1時間45分か・・・。まだまだ脚力は大丈夫だな・・・。

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コメント

おつかれさまです~
雪のため見つけにくさでも安全面でも難易度が
高かったんじゃまいかと憶測しますが、見事に
発見・ご帰還おめでとうございます~
(小生は参詣まだなんです)

うどんも美味そう。。やっぱアツアツがうれしいですね。

。。ちょい仕込んできます~

投稿: T.I. | 2011/01/18 01:52

shiroさん

雪の中で良く発見されたです! 急斜面の上から下を見下ろして捜すのですし、尊仏さんの小さな岩が辺りに同化してしまい、それは見え難かったと思います。 春にあそこの小岩場にコイワザクラが咲くのですよ・・。またお参りして見て下さい。

投稿: M-K | 2011/01/18 17:49

T.Iさん、こんばんは。
見つけづらかったァ・・・。
「簡単には見つからないよ」とは聞いてはいましたが、本当に判りづらい場所に鎮座しています。

でも、宝探しのようで楽しかったですヨ! 
T.Iさんも、まだご参詣していらっしゃらないのでしたら、是非・・・。
が・・・、春になってからの方がいいかも知れません。
雪の急斜面は、マジ怖かったです。
 
鍋焼ウドン、2年ぶりに食しました。
やっぱりあそこのウドンは美味いです。
T.Iさんのウドンには少~し負けますけどね♪
(・・・とリップサービス)

投稿: shiro | 2011/01/18 20:37

M-Kさん、こんばんは。
話は聞いていましたが、あんなに判りづらいとは思いませんでした。
イガイガさんの記録をよ~く読んで、見当をつけていたので、すぐに見つけられると甘く見ていました。
こういう宝探しは大好きなのですが、雪の斜面にはちょっとビビりました。
 
そうですか。コイワザクラが!
雪で尊仏岩の様子もわからなかったので、コイワザクラの頃にまた行ってみます。

投稿: shiro | 2011/01/18 20:41

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