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2010/11/22

鍋割峠の古道を歩く ~ついでにオガラ沢~

先日T.I.さんから、丹沢一帯の昭和30年発行の国土地理院地形図のコピーをいただいたんです。古い地図を眺めるのは大好き。

で、これはその一部

S30_ooyama

鍋割峠の南側の経路は、現在も使っている寄からコシバ沢を遡って鍋割峠に上がる登山道です。問題は北側。経路の点線はトラバースしながら鍋割北尾根のコルを乗越し、鍋割コシバ沢を下って尊仏ノ土平まで続いています。

ちょっと調べてみたら、寄方面から尊仏参りにいくための経路だったらしいんですね。

「これは歩いてみにゃならんだろう」と思っていたんです。

鍋割峠から北側に、うっすら経路跡が続いている事は知っていました。鍋割峠と鍋割北尾根のコルの間はイガイガさん、M-Kさん、AYさん、ミックスナッツさん、まーちゃん達が歩いている。崩壊が激しくとっても危険らしい。

コルから鍋割コシバ沢へ降りての下降は、数年前にAYさんが歩かれているが他の記録は検索してもヒットしない。

う~ん・・・。と考え込んでしまうような経路探索だが、とにかく行かねばなるまい。

1121

すっごく縦長のルート図になってしまったので、90度回転しちゃいました。見づらいかもしれないけど・・・。

11月20日

前々日まで雨予報だったのが、前日いきなり晴予報に変わりました。で、急遽暖めていた計画を決行することに。

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ところが寝坊&東名渋滞で、寄大橋に到着したのが9時20分。支度を整えて歩き始めたのが9時半。

ちょっと遅すぎだね・・・。これが後でひびいてくる。

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雨山峠へ向かう道を歩く事、約1時間で釜場ノ平。先日ここで、テキーラさんが山ガールに遭遇したとか。こんな静かな登山道にも、オシャレさん達が進出してきているらしい。

で・・・私もここでベンチに腰かけ、山ガールを待つ事に。

違う、違う!

やっぱり新しい靴がシックリこないのだ。このまま急登にかかると、またかかとを痛める予感。そこで前もってバンドエイドをかかとに貼っておく。

すると下から鈴の音が・・・。おっ!山ガールか! と思ったら先程追い抜いた青年だった。

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青年の後を追いながらコシバ沢を上がり、鍋割峠に到着。11時半。

さあ、ここからが冒険のスタートだ! ・・・って11時半? もう?

出発が遅かったからなあ・・・。日が短いこの時季、一抹の不安が残るが・・・出発!!

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峠から北側の山腹沿いに、けっこう明瞭な経路がついている。

少し歩いた所で、水平に伸びる経路と下へ降りる経路に分かれる。

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水平の経路を進むと、崩壊斜面。これは・・・渡れない。

戻って、下へ向かう経路に入る。崩壊斜面の下を巻いて、また斜面を登る。

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少し進むと、再び崩壊斜面。地形図にも崖記号が付いている斜面だ。さっきよりガラガラしているが、これは・・・渡れない事はない・・・か?

M-KさんのHPには『こんな斜面を渡ってはダメ。下を巻け』と書いてあった。でも、AYさん、ミックスナッツさんは渡っている。師匠の言葉にそむくのは本意ではないが、行っちゃえ~い!

こういうトラバースで、「なんとか渡れるよ」となるか「死ぬかと思った」となるかは、足の置き場所で決まる。一歩一歩、慎重に足の置き場を見極めながら歩く。前方で、ガラガラと音を立てながら、コブシ大の石が転げ落ちてくる。

ヒエ~~~

と思いながらも、なんとかトラバース成功。

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少し進んでまた崩壊斜面。今度は幅が狭いが、ガバっとえぐれている。

ここだ。先週AYさんに話を伺った時、「コルの直前の崖に気をつけて。手がかりが無いから。」と言われていた場所だ。崖の向こうにはもうコルが見えている。

目で追いながらルートを探るが・・・。無理だ。これは行けねぇ・・・。崩壊斜面は渡れても、最後の崖を登れそうもない。先日、AYさんとミックスナッツさんはここを横断しているはずだけど・・・。クッ! 悔しいが、あの二人の真似はできない。

上へ巻き上がる。20mほど登ってコルへ降り立つ。12時5分。鍋割峠から35分かかった。

このコルはオガラ沢乗越と呼ばれています。が、自分としては釈然としない。だって、ここはオガラ沢の源頭では無いもの。ここは鉄砲沢と鍋割コシバ沢の源頭。『峠の向こうへ』というHPに詳しく書いてありますが、古文書にでてくるオガラ沢乗越は、ここから北西にあるオガラ沢の源頭のコルじゃないかと考察しています。私もその意見に賛成。

だいいち、ここは古道の“乗越”ではない。鍋割峠からほぼ水平にトラバースしてきて、沢へと降りるのだから、“乗越”ではないのだ。

なんて理屈っぽい事は置いといて・・・

鍋割コシバ沢へと下降を開始します。

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沢の源頭にしては、傾斜は緩やか。古道の痕跡らしきものもポツポツあります。

あくまでも“らしき”だけどね。

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水流も無く、ゴロゴロとした沢床を歩きます。落ち葉が積もるゴーロは、思いのほか歩き難い。というか、危ない。落ち葉で石の様子が見えないのだ。隙間に足をとられたりする。

標高920m付近で、右岸側のアチコチから水が湧き出ていた。美味かった。

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12時40分 尊仏ノ土平に到着。相変わらず荒涼とした場所だ。けど、なんとなく好きな場所。河原に寝っ転がってみる。気持ち良いなァ・・・。

さて・・・。

鍋割峠の古道の探索は終わった。この後、どうしようか・・・。

そうだ。

と思い立ったのがオガラ沢ルート。地形図に破線が記されているものの、廃道になっているルート。まだ歩いた事が無かったんだ。経路の入口に『キケン』と書かれているからビビッてたわけじゃないゾ。なんとなく行きそびれていただけだ。

13時  尊仏ノ土平を出発。

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玄倉林道を歩いてオガラ沢出合へ。13時15分。

この堰堤の上、左の支沢を登っていくのが、『尾根コース』と言われている、一般的な鍋割北ルート。本流を登っていくのが『沢コース』と呼ばれている廃道。

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堰堤の上にはこんな落書き『ナベワリ山 ↑ 上級者コース キケン多し』と書いてある。

「オマエは上級者か?」と問われれば、「と・・・トンデモナイ!」と答えるしかないが、行けない事はないだろう。

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なかなか良い沢です。滝も無いし、沢屋にはつまらん沢だろうけどね。私にはこれくらいの沢が丁度良い。

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時々、古道の痕跡も出てきます。が、痕跡を辿るとスパっと切れてたりするから、ここは水流沿いを歩くのがいいかも。

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標高920m地点の二又。本流は左。だが、地形図の破線は右の支沢に付いている。右の支沢を詰めて尾根にあがるのがルートだったのだろう。

が・・・ここは左の本流へ入って、もっと上流で尾根に詰めた方が楽なような気がする。下流からずっと付いていた青いマーキング、ブルーシートを引きちぎってひも状にしたマーキングも左の本流を示している。

こんな汚いマーキングを頼るのも悔しいが・・・いや、マーキングを頼ったわけじゃないぞ。自分で地形図を読んで判断したんだ。

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980m地点でまた二又。本流は左だが、ここは右の支沢を詰める。

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目指すコルが見えてきた。最後は急登だが、ギリギリ二本足で歩ける程度。

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尾根に上がって、オガラ沢ノ頭へ向かう。が、この尾根がキツイ。地形図では全く読み取れないのだが、ナイフエッジのヤセ尾根と45度超の急斜面の上り下りが続く。

あの“キケン”という落書きはこの尾根の事だったんだね。沢には特にキケンそうな場所は無かったから。

“キケン”と言うより、“疲れる”。この尾根の通過で、相当体力を消耗してしまった。

オガラ沢ノ頭から鍋割山を目指す。急斜面の登りがキツイ。足が上がらない。朝からアンパン1個しか喰ってないんだ。 実は、今日は鍋割山荘で鍋焼きウドンを食べようと思っていたんだ。だから、おにぎりも持ってきていない。

とにかく鍋割・・・鍋焼き・・・と呟きながら頑張る。

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鍋割山頂に着いたのが15時15分。

うそ! なんでこんなに時間がかかったんだろう。オガラ沢出会いから2時間も! 沢コース、思ったより大変だった。

予定では14時半頃山頂に着いて、ウドン喰って15時に下山開始だった。ここから寄大橋まで大急ぎで歩いても1時間半か・・・。日没は16時半。

ダメじゃん! ウドン喰う時間が無いどころか、真っ暗になる前に車へたどり着けるかどうかも微妙。ライトは持っているけどさ・・・。

5分だけ休憩して、下山開始。登山道を急ぎ足で降りる。たぶん、最短ルートは後沢左岸尾根から後沢へ降りる作業経路。

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15時55分 後沢乗越。ライト無しのリミットが16時45分として、なんとかギリギリのペースだ。

後沢左岸尾根入口の鹿柵扉を開けようとするが、針金でグルグル巻きにしてある。

クソッ! なんの意地悪だよ! イライラしながら針金を解く。そしてまた、グルグル巻きで扉を閉める。時間がかかるけど仕方がない。たぶん山仕事の人がグルグル巻きにしたんだろうからさ。

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ここは、Vルートでもわりと有名だから、解説はしないけれど。もう薄暗くって、写真も撮れなかったからね。でもなかなか良い経路だよ。仕事道歩きだから、V派には物足りないかもしれないけどね。沢にかかる木桟橋も、ハイキングコースなみに整備されてる。

さて。仕事道をジャンジャンと降りて、なんとか16時45分、寄大橋の駐車場に帰着しました。

今日も面白い冒険だった。

けど・・・バテバテだァ。というか腹減った。朝からアンパン1個しか食べてないんだ・・・。

今日の教訓

時間読みはしっかりと! 山歩きの日は寝坊するな!!

 

最後に

丹沢の山を歩く皆様へ

鍋割峠北側のトラバースルートへ入るのは、おバカな人達だけです。「自分はバカじゃない」と思う人は、決して入らないでください。マジ、危険です。危険であるがゆえに時間もかかります。時間的には稜線を辿るルートと変わりません。

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コメント

shiroさん

探索、お疲れさまでした!
というのもウソのない気持ちですが、
「く、くやし~い!!」というのも
偽らざる気持ちです。

だって、UP早過ぎ
というか、広沢寺のロープワーク
飛ばしてのUP,ズルイですよ~~(笑)

冗談はさておき、この辺は静かで良い雰囲気ですよね。
今度は我々が歩いた熊木ダムコースはいかがですか!?

投稿: ハッピー | 2010/11/23 11:27

shiroさん

やりましたね! 立派な悪い子になりましたが、
最後のガレに突入しなかったのは「本当に良い子」
ちゃんでした。(エライ!拍手)あそこ入るのは
「Buu-×」です。

鍋割コシバ沢下って、オガラ沢上がって来て・・、
駆け出しの頃のM-Kを見ているみたいです。
ここ、カヤノキ棚沢流域というのか、オガラ沢流域
というのか、鉄砲沢流域というべきか・・、カヤノキ
棚山稜北面なのか、ともかくワクワク・ドキドキ・・
その静けさ、神秘さにのめり込んでいくのです。

投稿: M-K | 2010/11/23 20:06

shiroさん
アンパン1ケで凄い持久力!
私もダイエットできそうな歩きしたいですが
無理!無理!
この辺の複雑でちょい危ない歩きは奥が
深い。ハマりますよね。

昨日から体に20ヶくらいの赤い斑点。
かゆいのなんのたらない。
これってセギノ沢のあたりのダニ・・かな
私だけですか?

投稿: S | 2010/11/23 21:29

ハッピーさん、こんばんは。
>広沢寺のロープワーク飛ばしてのUP
シ~~~!
なにげにスルーしようとしているんですから。coldsweats01
いや・・・弁天岩の事は皆さんがUPしているとおりですから。以下同文って事で・・・。

え~・・・この場を借りてリポートとさせていただきます。
11/14に広沢寺弁天岩で、ロープワークの講習会に参加しました。詳細はハッピーさん、M-Kさん、まーちゃん、massyさんのサイトをご覧ください。
 
ハッピーさんも、数日前に土平まで行ってるんですよね!
熊木ダムコースってどのルートだろう。オガラ沢の左岸尾根かな? いずれにしても、この山域はボチボチとつぶしていくつもりです。
ハッピーさんのUPを楽しみにしてま~す♪

投稿: shiro | 2010/11/23 22:22

M-Kさん、こんばんは。
最後のガレは、突入できませんでした・・・。
しばらく突破するルートを探っていたのですが、どうしてもダメでした・・・。
悪い子になりきれなくて、悔しいです。despair
 
オガラ沢、鉄砲沢の流域には、初めて踏み込んでみましたが、本当に神秘的な山域だと思いました。険しくて、複雑で、踏み跡も少なく・・・。
M-Kさん達の記録を参考にしながら、この辺の探索も進めなくては・・・と思っています。
また、いろいろとお教えください。

投稿: shiro | 2010/11/23 22:29

Sさん、こんばんは。
普段から山行中はあまり食べない方ですが(たぶんニカニカ系の人ってみんなそうです)、さすがにアンパン1個はこたえました。
鍋割山へ登る急斜面では、本当にフラフラでした。『シャリばて』なんて意識した事が無いのですが、「これがそうかな」って思いました。
 
それにしても、オガラ沢左岸の尾根は複雑ですね。地形図からはそんな感じがしないのに、急峻で崩壊斜面がアチコチにあって。
RFも難しそうですが、それだけに魅力を感じる山域です。
 
>セギノ沢のあたりのダニ
ええ! ホントですか!
私は全く無傷でした。ダニには強いのかもしれません。(蚊に刺されても、わりと平気だし・・・)
なんか、変なヤブ漕ぎにつき合わせてしまってスミマセン・・・。

投稿: shiro | 2010/11/23 22:40

鍋割峠からの経路、凄い崩壊地がありますね。
とても私では通過出来そうもありません。

昔は立派な経路だったので、崩壊しては、いなかったのでしょうね。

オガラ沢の尾根の分岐までの登りは急登過ぎてイヤになりますね。
私が登った時もそう思いましたが、この苦労がなかなか止められません。
この時、鉄砲沢出会とオガラ沢出会に向かう下り方面の尾根を少し下ってみましたが、結構きれいな踏み跡が付いていました。
いずれは登りたいルートです。

投稿: yamajinn | 2010/11/24 10:12

yamajinnさん、こんばんは。
鍋割峠北のトラバースルート、入らないにこした事はありませんし、あまり無責任な事も言えませんが、yamajinnさんのようなVルートのベテランさんなら大丈夫と思います。わざわざ崩壊斜面をトラバするのはおバカのする事ですが、下に巻くルートをM-Kさんが確立していらっしゃいます。ですが、下へ大巻きするなら稜線を辿る正規ルートと時間的にあまり変わらず、時間短縮のメリットはあまり無いかもしれません。
私は、丹沢の古道に興味があるので、歩いてみたかっただけなんです。
 
オガラ沢左岸の尾根、ちょっと歩いただけですが、厳しい尾根ですね。yamajinnさんは、あの辺をずいぶん歩き回ってらっしゃるんですね。
私も、あの辺の尾根はボチボチとやっつけていくつもりです。地形が複雑で、ちょっと怖さもありますが・・・。

投稿: shiro | 2010/11/24 20:45

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