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2010/08/02

手沢右岸尾根

基本、危ない事はしない主義だ。

「え~~?」という声が聞こえてきそうだが・・・。確かに単独で未知尾根下降をして迷ったり、廃道探索に行って滑ったりしている。が、そんなのは、ちっとも危ない事じゃない。・・・と思ってる。

危ないのは沢だ。だから単独では沢歩きはしない。おっかねぇんだ。単独で沢を歩くような人は、ホント凄いと思う。リスペクトしてしまうが、オイラは真似しない。危ない事はしない主義だからね。

てなわけで。皆が「夏だ! 沢だ!」と言っている猛暑の真っ只中、今日もオイラは単独ヤブ尾根歩きだ。だって“おっかねぇ”事はしたくないんだ。

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7月31日

そもそもの計算狂いは、ちょっと寝坊した事だ。と言ったって、7時前には自宅を出たから、8時半には西丹沢へ着くだろうと思っていた。・・・ら、東名大渋滞だ。用木沢出会いに車を止めたのは9時45分。支度をして出発したのが10時。

ありえねぇ・・・。こんな遅い時間に山歩きスタートなんて。今日は、手沢右岸尾根をサクサク登って、雷木沢左岸の未知尾根下降を楽しんで、3時頃には戻ってこようって計画だったんだ。のっけから出鼻を挫かれた感じ。

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白石林道のゲートを越え、手沢橋を渡ったところで尾根に取り付く。いきなり凄まじい急登だ。薄っすらと付いている踏み跡をなぞりながら登っていく。

先週、大滝新道の急登と猛暑でバテバテになってしまった反省から、今日はゆっくりゆっくりと登ろうと思っていた。が、出発時間が遅くなってしまった事で、少し焦りがあったのだろう。自然と歩みが速くなる。まだ体力満々の歩き始めだから、急斜面でもグングン登れる。これが計算狂いの二つ目だった。

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急斜面を150m程登ると、傾斜も緩んで、気持ちの良いヤセ尾根歩きになる。雰囲気の良い自然林だ。うっとおしいマーキングは無いが、薄っすらと踏み跡は有る。地面は固く、グリップが良いから歩きやすい。

良い尾根だなァ・・・なんて思いながら、気分は上々だ。暑さがボディブローのように、少しずつ効いてきてはいるけれど・・・。

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ほどなくP1055に到着。ぼやけた尾根を登ってきたが、左右に明瞭な尾根を持ったピークだ。この尾根を下降で使う時には、RFの要注意ポイントかもしれない。

樹木が切り払われた明るいピークだ。もし植林地だったら、ヘリで資材を下ろすために切り払ったのかとも思うが、ここは手付かずの自然林だ。何故、ここが切り払われたのだろう・・・なんて思うが、まあ関係ないや。とにかく、明るくて気持ち良くて、休憩するにはもってこいのピークだ。

ピークに寝っ転がって、しばし休憩。それにしても蒸し暑い。なんだか空気が重たくなってきている事に気付く。

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P1055を過ぎてしばらくは、緩やかな稜線歩き。ザレザレのヤセ尾根が続く。足をザレにとられたら、谷底へ滑り落ちそう。そんな緊張感が程よかったりもする。

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標高1080m付近。沢音がやけに近い。尾根の下10mくらいのところに沢が流れているんだ。手沢の支流だろうけど、けっこうな水流だ。尾根の背を歩いていて、こんな近くに沢を見るのも珍しい。

しばらく沢を見ながらの緩やかな登りを楽しんでいたが、だんだん傾斜がきつくなってきた。地形図を見ると、ここから標高差400mの急斜面だ。

そして計算狂いの3つ目。雨がポツポツと降り出した。

ウソォ~ン! 今日、雨予報なんて出てたか? 本降りにならなきゃいいけど・・・なんて思っている間にザーっときた。けっこうな降りだ。

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こんな時は潔く濡れて歩くしかない。真夏の蒸し暑い時にレインスーツなんて着て歩いたって、汗でグショグショになるだけで、かえって気持ち悪い。たとえゴアのレインスーツでもね。これは経験談。だから真夏は、重くてかさばるレインスーツは持って歩かない。万一の防寒用にポンチョを持っているだけ。

ずぶ濡れになりながら、急斜面を黙々と登る。「涼しくなっていいや」なんて負け惜しみも出てこないほど、体力を消耗していく。グリップが良かったはずの地面も、雨でズリズリになっている。滑るから、足に過度の力が入る。だんだん歩みが遅くなる。

1時間くらいだろうか。ザーザー降っていた雨も、ようやくやんだ。風もピタッと止まって、ブワーっと蒸し暑い空気が立ち込める。

そして・・・

今日もバテた。

登り始めの急登でピッチを上げたことも、今になって効いてきているんだろう。雨に濡れた事も、ズリズリになった地面も体力を奪っていったのだろう。

突然のように足が動かなくなる。大室山の稜線まで後100~150mくらいの地点だったろうと思う。気圧の急激な変化で、高度計もバカになっている。正確な標高がわからなくなっていたんだ。

もうちょっとだ・・・と思うも、足が上がらない。クソッ! と立ち止まって休憩する。が、止まっている事に辛抱できなくなって、またすぐに歩き出す。が、足が上がらなくなって、また立ち止まる。・・・の繰り返し。

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たった100数十mをどれくらいの時間をかけて登ったのだろう。森の光景が変わった事に気が付く。枯れたバイケイソウが目立つ。ああ・・・この光景、見覚えがある。大室山~加入道山の稜線に良くある光景だ。稜線に近づいたんだ。傾斜も緩んできている。

ああ・・・と安堵したその時。鹿柵に行く手を阻まれる。

ガッテム!! と、一瞬柵を蹴飛ばしそうになったが・・・。 

こんな時こそ冷静に、冷静に。必ず回りこめるはず。と、柵沿いに草むらを掻き分け掻き分け回りこむと、登山道に飛び出した。

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飛び出た地点は、大室山の西、P1543の西の肩の辺りだと思う。アルミ脚立が置いてあった。時刻は13時半。用木沢出合から3時間半もかかっちまった・・・。

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汗を拭いながら、何気なく鹿柵の中を覗くと、ウバユリが咲いているのを見つけた。

珍しいなあ。こんな所でウバユリを見るなんて。もっと里に近い場所では、チラホラ見かけたりもするが、奥山で見るのは稀だ。鹿が全部食べてしまうんだろう。柵に保護された区画は、やはり野草が豊富だ。

アルミ脚立を乗り越えて、鹿柵の中を探索したい衝動が湧くが、体力的に萎えてしまった。本当にバテバテだったんだ。

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10m先が見えないほどのガスの中、加入道山へ向かって登山道を歩く。加入道山頂の濡れたベンチに倒れこみしばらくウトウトとする。

起きた時には14時半を回っていた。また小雨が降りだしてきている。どうする? 予定では雷木沢左岸尾根を下降するつもりだった。もちろん未知のVルートだ。

数週間前の石棚沢右岸尾根を思い出す。あの時と同じだ。バテバテ状態。そして雨。尾根の分岐すら見通せない、濃いガス。気圧の急激な変化で高度計も当てにならない。あのルートミスをした時と、全く同じ条件が揃っている。

やめるか・・・。

白石峠から登山道を降りよう。

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雨で萎れたシモツケソウ。でも、美しい花は、濡れてもまた美しい。

 

この日もまたバテバテ山行でした。

でも、懲りずにまたやるゼ! 真夏のヤブ尾根。

それがオイラのスタイルだからね。

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コメント

shiroさん
愛すべきお○○の同胞、shiroさん。
お見事でした。本当に御苦労様でした!
「一度登るオ○カ、一度も登らぬオリコウ!」の意味が
分っていただけたと思います。
真の「ヤブ尾根野郎」に大拍手を贈ります。(^^)v

投稿: M-K | 2010/08/03 01:25

M-Kさん、こんばんは。
今回もまたまた、『見事』な事は全く無い、おバカ山行でした。
でも、目指すは『オ○カ of オ○カ』ですから、何度でも登りますから!
M-Kさんに「ヤブ尾根野郎」と言っていただく事は、とても光栄で、なによりも嬉しいです!
調子に乗って、真夏のヤブ尾根を歩き回ってみます。

投稿: shiro | 2010/08/03 21:02

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