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2010/07/04

祠尾根~石棚山~石棚沢右岸尾根

いやはや・・・苦しい山歩きだった。風邪っぴきが治りきってなかったのだ。体調不良で山を歩く事が、こんなにも辛いとは。

西丹沢自然教室の目の前に有る、山神様の祠の裏から板小屋沢ノ頭へと続く尾根を登り、石棚沢右岸尾根を下降してきました。丹沢Vルート界の尊敬すべき大先輩である、イガイガさん、M-Kさん、AYさん達が開拓し、世に知らしめたルートだ。

ずっと『歩きたい尾根リスト』に入っていたのだが、最近ハッピーさんから「珍しい花を見つけたよ~」という話を聞き、それがどうもこの尾根筋じゃないかと・・・。

そして、体調が完全じゃない事は自分でも自覚し、天気予報も芳しくなかったこの日、このルートを歩こうと思い立ったのでした。いや、決して甘いルートではない事はわかっていましたが、少なくても悪場が無い事は諸先輩の記録を読んでわかっていましたから。

ところがね・・・。歩いている途中で体調が悪化。そしてルートミス。またもやおバカ山行のお話だ!

Tizu10703

7月3日

久しぶりの山歩きだ。1ヶ月ぶり。空はどんよりとしているが、心はウキウキ。午後から雨の予報だったが、そんな事を気にするオイラじゃない・・・ってな気分。それほど山が恋しかたんだ。1ヶ月近く、行きたくても行けなかったんだから。

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自然教室の目の前の山神様。この横から裏手の尾根へとくっきりとした踏み跡が見える。踏み跡を辿って尾根に乗る。『祠尾根』という名前はマイナールート探検隊のキリヤマ隊長の命名らしい。尾根上には、薄いけれどはっきりとしたトレースが付いている。歩く人もけっこう多いのかもしれないなあ。

最初の異変に気がついたのは、100m程登ったあたりからだ。息が乱れるし、足が重い。久しぶりの山歩きだから、身体が慣れていないんだろうくらいに思っていた。

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尾根は緩斜面と急斜面を繰り返しながら高度を上げていく。850m付近の急登にかかったところで、はっきり体調以上を意識した。息が上がりすぎている。汗のかき方も異常だ。足が上がらない。

「こりゃ、まいったなァ・・・。どうしよう。引き返そうか。」とも思ったが、とにかく板小屋沢ノ頭までは登ってみる事に。標高差、後300mほど。それくらいは行けるだろう。

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この祠尾根、なかなかワイルドで歯ごたえの有る尾根だ。自然林・・・ヤセ尾根・・・大好きな尾根だ。こういう尾根を歩いていると、本当に心休まる。

・・・と裏腹に、体調最悪。10m登っては立ち止まり、噴出す汗を拭う。無理矢理休みをとってきたんだ。来週だって休めるかどうかわからない。こんな所で引き返せるかい! せめてこの尾根だけでも踏破しなくっちゃ。休み休みながらも歩き続ける。

こうゆう時には、「単独で良かったァ」と思う。他の人に気兼ねする事無く、自分のペースで休みながら歩けるからね。

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で、ヒーコラ言いながら板小屋沢ノ頭に登頂。2時間半かかった。でも、体調さえ良かったら、1時間半くらいで登れるかも。

例えば・・・石棚山稜を目指すとき、正規の登山道であるズサ平沢から登ってくるルートよりも、こっちのルートの方がいいかもよ。なんて考えもよぎる。あっちの正規ルートだって、ザレ斜面の急登で、けっして楽しい道じゃない。

でも、この祠尾根は、あくまでもVルート。おバカさんか病気の人以外は歩かない方が無難だね。それに去年の秋には、この尾根でテキーラさんが熊に遭遇している。私も今日、熊らしき足跡を確認した。(半分つぶれた足跡で、はっきりはしないけれど・・・)

それはさておき・・・

さて、この後どうしようか。せっかくここまで来たんだ。予定通り、石棚沢右岸尾根を下降しようか。キツイ登りは終わったんだ。なんとかなるだろ。

なんて、考えてしまうところが『おバカ』の悲しさ。

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石棚山へ向かって、正規の登山道を歩き出す。普通の道を歩く分には、ヘッチャラさ。なんて思ったのが甘かった。この山稜のアップダウン、それなりにキツイんだよね。だんだん身体が辛くなってくる。道端の花がバイケイソウじゃ、心もそれほど癒されないや。この花、華やかさにかけるのは何故だろう。薄っすら緑がかった花色のせいだろうか。

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目指すベンチが見えてきた。石棚山とテシロノ頭の中間に有るピーク。(石棚山稜の山名には諸説あって、『西丹沢頂稜河川土地名称図』では、このピークがテシロノ頭になっています。) ここが石棚沢右岸尾根の下降口だ。

ガスが濃くなってきた。「コリャ、予報通り雨が来るな」という事を気にしながらも、たっぷりと休憩をとります。ベンチで30分くらい横になる。一眠りしたおかげで、少しは体力が戻った気がする。これから未知のV尾根を下降するんだ。地形図を眺めながら、降りるべきルートを丹念に確認します。けっこう難しそうな尾根だな。間違えそうなポイントがいくつも有る。

何度も書いているけれど、未知尾根をRFしながらの下降が大好きだ。難しそうな尾根ほどワクワクする。 が・・・今日は体調がこれだからな・・・。

なんて不安がっててもしょうがない。さあ、行こう!

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ベンチからピークへ上がり、鹿柵を回りこんだところで、下降すべき尾根を見つける。地形図とコンパスで確認しつつ尾根を辿る。これだけガスが濃いと、RFの難しさが倍増する。ヤセ尾根はいいけど、広い尾根になるとわかりづらくなるんだ。見通しが悪いから、尾根の背を下降しているつもりで山腹を降りてしまうって事がおきるんだ。尾根の分岐も確認しづらくなる。

そしてついに雨が降り出した。

北西に進路をとりながら、地形図上に1065の表記が有る地点で真西に進路を変える事は、あらかじめ頭に入れていた。

が・・・ミスった。

実際に進路を真西に変えたのは、1020付近だった。その事に気がついたのはだいぶ先に進んでからだった。右手から沢音が聞こえてきて、おかしいと思った。そして、右手前方の木々の合間から、堰堤の陰がチラッと見えた時、はっきりと間違いに気がついた。

地形図を必死で見る。なんとなく現在地がわかった。下降する予定だった尾根は、P784を通って、東沢と石棚沢の合流地点へ降りる尾根だ。今は、その1本北側の尾根の標高800m付近にいる。

どうする? 戻り返す・・・わけないだろ。もう、すぐ下が東沢だ。この辺りには滝とかも無いはず。このまま東沢へ降りるだけさ。この先等高線が混んでいるのが気になるけれど・・・。

と、先へ進む。

が・・・、やっぱりね。沢を目前にして切り立った斜面だ。窪地に沿ってトラバースしながら、下降できそうな場所を探す。

ロープを出そうか・・・なんて思った矢先、足元が崩れた。しりもちをついたまま、窪へ向かって滑り落ちる。が、自分でも驚くくらい冷静だった。掴めそうな木を冷静に探して、5m程滑ったところで木にしがみつく。

ズボンの泥をはたきながら、「ヘヘッ。ロープを出す手間が省けたぜ。」なんて負け惜しみ。

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なにはともあれ、東沢へ降り立った。石棚沢出会いの500mほど上流。河原のゴーロを歩きながら下流へ向かう。

途中で堰堤を右岸から巻いた。

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石棚沢出合。本当ならこの尾根の先端に降り立つ予定だった。

まあ、Vルート歩きに「何が正解」は無いけれど、予定のルートを外してしまったんだから、やっぱり失敗だ。

ここから先は自然教室まで、新しくできた立派な登山道を辿る。もうフラフラだぜ。こんな体調で、こんなキツイ山を歩き回るなんて、「ほんとバカだな」とつくづく思う。せっかく治りかけていた風邪も、また悪化したような気がする。

そしてルートミスの敗因を考える。雨で気持ちに焦りが出てしまったのも敗因だ。ガスで見通しが利かない時こそ、ゆっくりと落ち着いて歩かなければ。

そして、一番の敗因は高度計に頼りすぎていた事だ。低気圧が接近していたこの日、高度計も相当狂っていた。出発時に自然教室前で550mに合わせた高度計。帰着時には600mを表示していた。50mの狂いだ。自分が1065mと思って進路を西に変えた地点が、実際は1020mだった事が納得できる。こんな天候の日は、高度計の狂いも考えなければ・・・。

AYさんに聞いた事が有る。AYさんは高度計を持たないし、コンパスも滅多に見ない。それで、どうして正確なRFができるのだと。AYさん曰く「景色を大きく見なさい」と・・・。

いまだその言葉の意味が掴めず・・・。

一人前への道は遠いなァ・・・。

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コメント

Shiroさん
無事なご帰還と1065mからの新ルート開拓おめでとうございます。
Shiroさんの体調不良で2年前同じような体調不良時の山行思い出しました。(08.7.5、AYコーナーNO.70)
最後のヒヤリ、今後の事故防止に役立てましょうね!
(同日、まーちゃんと笹子沢~屏風岩山、雨落ちる前に帰ってました。)

投稿: AY | 2010/07/05 02:58

AYさん、こんばんは。
AYさんの№70、あらためて読ませていただきました。AYさんにも、体調不良山行があったんですね。しかも同じ山域で!
私の場合、原因は風邪と寝不足です。自己管理不摂生の結果ですね。
1065から思わぬ形で、新ルートを開拓してしまいました。(冷汗) いや・・歩き難い岩ゴロゴロの急尾根で、最後が切り立ってますからルートとして使えないかもしれません。『使えないルート』という事を確認した事は意義が有るかもしれません。
最後のヒヤリは不注意でした・・・反省ものです。bearing

投稿: shiro | 2010/07/05 21:31

shiroさん
どうもどうも・・お疲れ様です!
皆誰しも通る道の一本ですよ。
(体調不良、悪天候、強引踏破、道迷い、ヒヤリ・・、これをやりながら歳を取っていくのです) このルートは登り、下りともV探検家に
とっては素晴らしい尾根なのですが一般登山道が
そこにあるためにちょっとためらってしまうのです。軽い気持ちで入り込んだらエライ事になりますからね。

投稿: M-K | 2010/07/06 01:17

M-Kさん、こんばんは。
体調不良で山を歩いた事については、全く反省も後悔もしていません。が・・、『誰しも通る道の一本』のお言葉には勇気づけられました。そうか! このくらいの事は別にバカな事じゃないんだ!! (充分バカな事だって!)
石棚山稜の周辺、まだ数本、気持ち良さそうな尾根がありそうですね。地形図を見る限り、どの尾根も複雑そうで楽しそうです。おいおい制覇していこうと思っています。

投稿: shiro | 2010/07/06 20:49

キリヤマです。

少し前の記事のようですが、コメントさせてください。

滑落されたそうで、ケガなくすんで何よりです。
読んでいて、やっぱりそうか、と思ったことがあります。

>自分でも驚くくらい冷静だった。

これは滑落された方が、よくいう言葉らしいです。
「ドキュメント 滑落遭難」(羽根田 治)という本に
書かれています。滑落したのによく生きていたなぁ
という人達のノンフィクションです。
(すでに読んでおられたら、すいません)

わたしは滑落の経験はありません。
今年になって始めたボルダリングでよく落ちるのですが、
あれが滑落の感覚に似ているそうです。
でも、山で滑落した場合は、マットもハーネスもありません。

臆病なわたしは、滑落、クマ、道迷い、雷、ぜーんぶ怖いです。
shiroさんの勇気に感心するとともに、今後shiroさんが滑落しないこと、
それからわたしも滑落しないことを祈ってやみません。

投稿: キリヤマ | 2010/07/12 23:35

キリヤマ隊長こんばんは。
“滑落”だなんてとんでもない! ちょっと急斜面で滑り落ちただけです。大袈裟に書いてしまってお恥ずかしい・・・。実は怪我もちょびっと・・・肘に擦り傷を作ってしまいました。(恥)
 
祠尾根はキリヤマ隊長のレポを思い出しながら登りました。ワイルドでありながら歩きやすい良い尾根です。
 
私も勇気なんてありません。沢を歩く事に臆病だし、熊の影にもおびえています。何故か道迷いだけは怖さを感じないのは、たぶんアホだからです。
 
それにしても、今回急斜面で足を取られた事は、反省しなければいけませんね。キリヤマ隊長のレポを読んでいると、急斜面では必ずロープを出されているようです。私も見習わなければ・・・。今回もロープを出す事を面倒がってしまったために滑ってしまいました。
 
これからは、スズメバチも怖いですね。こんなに怖い物だらけなのに、何故山へ行くのか不思議です。
何はともあれ、お互いの安全を祈りつつ・・・。

投稿: shiro | 2010/07/13 20:48

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