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2010/02/23

廃道、秦野峠の道を探索する

『秦野峠』というと、今は秦野峠林道の中間地点、虫沢林道の分岐点になっている地点の事だ。が、そこから伊勢沢ノ頭へ向かう稜線の途中に『旧秦野峠』が有る。有名なポイントだから丹沢歩きをしている人ならたいていは知っているでしょう。でもそこが、今は廃道となってしまった寄(やどりぎ)と玄倉(くろくら)を結ぶ道の峠であった事を知っている人は、そう多くはないかもしれません。と、偉そうに言っていますが、私もよく知らない。知らないけれど、廃道には興味がアリアリなのです。当然この秦野峠の道にも、前々から興味を持っていました。

ネットで下調べをしてみましたが、このルート、今はほとんど歩く人がいないようです。廃道なんですから当たり前ですが。当然このルートの情報も少ない。でも『人があまり歩いていないルート=面白いルート』という思考回路を持っている私としては、ますますそそられます。

少ないながらもネットから得た情報は、稲郷から西へ向かう杉ノ沢に沿って径路があった事。菰吊沢の少し先、林道のヘアピンカーブの地点で、林道と合流する事。(地形図に破線で記されているルートだね) 林道からオンバク沢へ入って、途中から西へ向かい秦野峠へ出る事。(この間のルートは地形図からも消されている) 秦野峠からは地形図の破線コースで蕗平橋の南へ出る事。

よっしゃ。これだけ情報があれば充分だ。後は歩きながらルートを探るのみ。

という事で行ってきました。

Tizu10221

2月21日

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朝7時30分 寄大橋の袂に車を止めて出発です。

さあ、今日も楽しく行きまっしょ!

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車道を寄方面に10分ほど戻って、みろく山荘の所で河原へ降ります。ここが杉ノ沢出合。山荘の吊橋を横に見ながら川を渡渉します。

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杉ノ沢の右岸側に立派な作業経路が有ったので、そこを辿り最初の堰堤の上に出ます。そこはこんな可愛い沢。どこでも歩けそうだが、それじゃあ意味が無い。径路跡を探しながら進むが、あまりよくわからない。いったん左岸側に渡渉して歩いてみたが、右岸側に径路っぽい跡を見つけて、再び右岸へ渡渉する。

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そこにはほら、こんな立派な径路が。

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はっきりとした径路を辿ると、大きな苔むした堰堤脇を通過。銘盤を見ると『平畑堰堤』と書いてある。

しかしこの先で、道跡があやふやになってきました。なんとなく「ここかな?」という所を探り探り歩きます。

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するとドでかい堰堤にぶつかる。もう堰堤というよりダムだ。銘盤を読むと『杉ノ沢堰堤』と書いてある。右岸側からは巻けそうも無いが、左岸側からは簡単に巻けそうだ。地形図の破線は右岸についているのだけれどなァ。もっと手前から巻く道があったのか? それとも地形図の間違い? そう。国土地理院の地形図は、登山道の表記に関してはとってもいい加減なのだ。そんな例はいくらでも有る。

と、勝手に解釈して左岸に渡って堰堤を巻く。

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堰堤の上は、こんなダダ広い河原。秦野峠林道を歩いている時、白水橋辺りで見える異様に広い河原はここだったんだ。

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径路跡を探しながら、再び右岸へ渡ると、植林地の中にこんな径路を見つける。しばらくはこの道を辿るが、やがてあやふやになり・・・ついに径路跡を見失う。

しかた無しに、沢沿いにしばらく歩く。

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ほどなく堰堤にぶつかって行き詰る。戻るのも面倒なので、堰堤脇のこんな崖地をよじ登る・・・が、ちょっと危険。こんなところが径路であるはずが無い。崖をよじ登った先に、薄っすらと道跡らしき痕跡を見つけたので、もっと手前から堰堤を巻く径路があったのだろう。

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そうこうしているうちにヘアピンカーブの下へさしかかる。事前に調べた情報だと、ここから林道へ上がるはずだが・・・やっぱり径路跡らしきものは見つからない。しょうがない。とにかく林道へ上がるか・・と急斜面を這い上がる。

予定通りヘアピンカーブの地点で林道に出て、しばらくは林道を歩く。

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10分ほど林道を歩くと、オンバク橋だ。ここからオンバク沢を上がるのだ。ここで二俣に分かれている沢の間に、新しそうな作業径路がついている。が、旧径路の入り口はここじゃないような気がする。全く根拠は無いけれど、なんとなくそう思った。そこで左俣の右岸に沿って登りだす。

その時の私の考えはこうだ。オンバク沢の右岸を登って、標高700m付近から西側の尾根の鞍部を目指して登っていくのじゃないだろうか。その鞍部からトラバース気味に秦野峠へ向かうのじゃないだろうか。

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標高700m付近で鹿柵にぶつかる。が、鹿柵に沿って西側の尾根に登る仕事道が有る。ここを登ってみよう。

小ピークに登り詰めてから、目指していた鞍部に降りる。

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その鞍部にはこんな石柱が有った。『神造公』と書いてある。意味は全くわからない。でも、こんな石柱が有るって事は、ここが旧径路に間違いない!

・・・と小躍りしてみる。

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そして鞍部の左右には綺麗な径路が続いている。鹿柵を乗り越えてオンバク沢をもう少し遡っていたら、この径路に乗れたのかもね。

さあ。この立派な径路を西に向かって辿ってみます。

ところがこの径路、九十九折に高度を上げていく。しかも北西に向かっている。事前の予想としては『真西へトラバースしていく』だったから「んんん?」と疑問が湧く。

が、なにしろ正解がわからないのだから、とにかくこの目の前の“綺麗”な径路を辿るしかないでしょう。

そう綺麗過ぎるんだ。土留めの杭が新しすぎる。地図から消された廃道がこんなに立派な道で有るはずが無い。次第に頭の中の疑問符が大きくなる。

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標高が850mを越えたところで、疑問は確信に変わった。あきらかに間違えた。秦野峠の標高を越えてしまったのだ。径路の中で最も高い地点を峠とするならば、この道は秦野峠の旧道ではない。

どうする? 戻るか? でもこの径路がどこまで続いているのかも気になる。とにかく、この径路を辿ってみよう。

思うに、これはつい最近作ったばかりの仕事道だ。が、不思議なのは、ずっと自然林の中を歩いているという事。仕事道というのは植林地に造るものでしょう? これは何のために造った道なのだろう・・・。

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結局、伊勢沢ノ頭の南にあるP1086のやや南側で登山道にぶつかりました。そこにはこんな看板が。やはり仕事道でした。看板の綺麗さから見ても、最近できたばかりの道のようだ。

ここから秦野峠へ向かって一般登山道を降りていきます。

この日の山行で一番つらかったのがこの区間。雪が解けを大勢の人が歩いた登山道は、グチャグチャのヌルヌルだ。しかもこの区間は檜岳山稜で一番の急斜面。ズリズリ滑るし、靴がドロドロになる。人が歩かないVルートの方が、よっぽど楽だぜ。

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でもって、秦野峠に到着。ここでしばし考えます。予定通り、玄倉側へ向かうか? でも、オンバク沢からの径路がわからないままにしておくのも悔しい。今日はここからオンバク沢へ戻ってみよう。なんとしてもオンバク沢までのルートを探るのだ。

ロープが張られて、杭でバッテンが作られている先が旧経路です。

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通せんぼロープをまたぐと、こんな立派な径路が続いています。

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が、すぐに道型は無くなります。急斜面地で崩壊しているのです。

なんとなく薄っすらと見える道跡を探りながら歩きます。ズルズル滑る斜面をトラバース。この程度のトラバースは、特に危険を感じないけど、とにかく踏ん張って歩かなければならない。足が疲れるんだよなァ。

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やがて堰堤が並ぶ沢に出る。すぐ下には林道が見える。地形図で確認すると、あらか沢橋に違いない。なるほど、ここからなら簡単に林道に降りられそうだ。

が、旧径路はオンバク沢まで続いていたはず。・・・と東側に径路跡を探す。

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すると、この崖の向こうに径路跡らしきものが薄っすら見える。でも、この崖はトラバースできないぞ。さすがに危険すぎる。上から巻いて、崖の向こうに下りる。

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すると有った、有った。薄いけれど、道の跡が見て取れる。径路跡らしき痕跡を辿り辿り、行き着いたのが石柱の有る鞍部から数十m西側の地点。あの立派な径路からの分岐点は、「コリャ見逃すワ」というくらいの薄さ。知らなきゃ入れないね。

さて、今度は鞍部から東側へ続く径路を辿ってみます。

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堰堤がズラズラと並ぶ、オンバク沢に降り立ちました。先ほど尾根に登り始めた地点より、標高にして2~30m上の地点です。

沢を渡り、径路はさらに続いています。

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オンバク沢右俣と左俣の間を、くねくねと降りていきます。

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そして降りついた地点は、第一オンバク橋と第二オンバク橋の間。登る時に「ここは違うだろ」と思った作業道入り口でした。

 

さて

今日の冒険はこれでおしまい。

旧秦野峠道の全線探索はできませんでしたが、ともかく秦野峠東側は解明しました。(杉ノ沢沿いの径路では怪しい部分もありますが・・・)

そして、オンバク橋から伊勢沢ノ頭へ向かう新経路の発見! これはちょっと意義が有るでしょう!? え~っと・・・例えば伊勢沢ノ頭から急いで寄へ降りたい時とか・・・にはいいルートだと思うよ。

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なにはともあれ、またまた楽しい山歩きができました。

里の近くでは、もうオニシバリが花を咲かせていましたよ。

春の足音が聞こえはじめてきたなァ・・・。

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コメント

shiroさん、こんばんは!
ゴブサタいたしました。

実は、新しくしたパソコンの調子が悪くて、
既に2回も故障してしまいまして・・・
2回目は昨夜でございます。
リカバリされて戻ってきたパソコンを、
やっと少し元の使いかってにした矢先、
またまた突然の故障で、昨夜は私の落込みが
修復不可能でした。

21日に咲いていた今年初物のキランソウの写真を
掲示板に送ろうと思いつつ、グズグズしていたわけで、
あーあ残念!!でございます。

廃道探検、そそられますね~
古道とか、峠とか、私も好きです。
でも、臆病なので一人で行かれません。
最近、特に怖がりになりました。
だから、shiroさんも、ニカニカの皆さんも、
すごいなぁと思います。
でも、くれぐれも気をつけて冒険してくださいね。

今日はぽかぽか暖かだったので、
ふらふら鳥見に行ってきました。満足満足(^-^)


投稿: ハッピー | 2010/02/25 20:21

ハッピーさん、こんばんは。
最近、ハルのサイトを覗いても、ハッピーさんのお名前を見かけないので、「どうなさったんだろう?」と思っていました。
新しいPCの不調ですか? 初期不良ってやつですね。10年くらい前までは、PCの初期不良は当たり前でしたが、最近では珍しいですね。
PCが不調だとホントに落ち込みます。わけがわからないだけに。お気持ちお察しします。
 
もうキランソウが咲いていましたか! 私は昨日、道端で今年初のオオイヌノフグリが咲いているのを見つけて喜んでいました。もう春ですねぇ~。
 
廃道歩きは面白いです。・・・が、古道は沢沿いやトラバース路が多く、それだけ危険な箇所も多いです。崩落斜面にぶち当たったりすると、とてもビビります。でもクセになる面白さが有るんですよねぇ。 

投稿: shiro | 2010/02/25 21:36

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