11月23日
緊張感に包まれながら、ピリピリと歩くVルート歩きが好きなのは間違いないのだが・・。たまにはのんびりとお気楽に歩きたい時だってあるんだ。何も考えずにボケーっと歩けるVルートってないかなァ・・・と。
で、ここはどうだ? と決めたのが塩水橋から本間ノ頭へと伸びている尾根。本間ノ頭南東尾根と呼ばれている尾根だ。そして、帰りは円山木ノ頭から、ミックスナッツさんが「美尾根一番!」と言っていた弁天尾根を下ってこよう。ついでにいつも林道から見ているあの巨大な弁天杉の見物もしてこよう。
そんなわけで、いつもの通り丹沢へ。この上ない小春日和の一日でした。
朝8時少し前。 塩水橋の脇に車を止める。今日も沢山の車が止まっています。今日はいつもの林道ゲートはくぐらず、橋の横の小径を入って行く。仕事道の入り口には必ず有る『関係者以外立入禁止』。おっと、ここの看板は大きいぞ。でも、立ち入るけどね。
あれ。こんな所にも山神様が。書体とか彫りのシャープさから見て、かなり新しそうではあるけれど。なにはともあれ、手を合わせる。
普段は信仰心など全く無いのに、山で山神様やお地蔵様を見つけると、必ずお祈りをする。自分でも不思議だけれど。
植林と自然林の混じった尾根を登る。仕事道が尾根の山腹にジグザグに付いています。が、ここはVルート気分を味わうために、わざと仕事道を無視して、尾根上を真っ直ぐ登って行く。傾斜も緩やかで、歩きやすい尾根だ。
歩きながら、塩水橋で出合った夫婦の事を思い出す。九州から来たんだって。天王寺尾根の取り付を聞かれたので、教えてあげた。丹沢山から蛭ヶ岳まで行きたいんだって。「日帰り可能でしょうか?」と聞かれたので「大丈夫ですよ」と答えた。が、よく考えたら出発が遅すぎるぜ。8時だもん。天王寺尾根ルートだと、健脚の人でも往復9時間かかるでしょう? 日没までに戻って来るのは不可能だ。大丈夫かな、あの夫婦。と、急に心配になる。
が、心配しても仕方がないか・・・。ベテランっぽかったし、そのくらいの判断はできるだろう。と、所詮は他人事だ。
ところどころに現れる、綺麗な紅葉。いいなァ・・・のんびりと歩くのって。
この尾根、地形図を見ると下りではそれなりのRF(ルートファインディング)が必要そうですが、登りでは迷いそうな箇所はない。唯一、P741で要コンパスチェック。後は尾根を辿るだけです。
どうよ。なんか気持ち良さそうな尾根でしょう!? ブナの巨木が沢山生えている。ホント歩いていて気持ちが良い!
宮ヶ瀬の方からパンパンと音が聞こえてくる。猟銃の音か? と、一瞬ビビったが、よく聞けば花火の音だ。そうだ、今日は宮ヶ瀬でトレランレースが有る日だ。今年は榛ノ木丸の登山道じゃ無い所を走るんだって。山が荒れるって批判が多いみたいだ。確かに、レースをするような山じゃないだろ、とは思うけど・・・。それを言ったら「お前だって登山道じゃない所を歩いているだろ」って言われちゃうから。
時々見かける、木に赤スプレーのマーキング。これを見ると、ちょっとイヤな気分になる。きっと私と同じVルート愛好者が付けた目印に違いない。確かに、テープや紐のマーキングは、ありがたい時も有るし、あまり嫌な気はしない。岩にマーキングもまだ許せる。でも、この木にスプレーは嫌いだ。自然を慈しむ人なら、こんな事できないはずだろ?
小さなピークに立つブナの木。ピークを覆うように根を張り巡らせている。
こういう光景には神々しさを感じるんだ。「神々の領域を歩いているんだなァ」という感慨に浸る。

標高を上げるにつれ、だんだんワイルドになってきましたよ~。
あれ? Vルートなのに土留めの階段が・・・。
ハッと思い、高度計を見ると1300mの表示だ。おかしい。1300mの手前で一般登山道に合流するはずだ。
地図とコンパスで現在位置を探る。どうやらいつの間にか一般登山道に乗っていたようだ。
そんな事にも気がつかないなんて・・・! ボーっと歩くにも程があるゼ、まったく!!
10時50分 本間ノ頭に到着。 ベンチでチーズ蒸しパンを食べる。コンビニで売っているこのパン。今、一番気に入っている行動食です。
15人くらいの団体さんが丹沢山方面から上がってきて、そのまま宮ヶ瀬方面へと降りていきました。ツアー登山だろうか。整然と等間隔で一列に歩いています。人の好き好きだけど、こういう山歩きはできないなァ。歩いていても窮屈そうだ。
円山木ノ頭へ向かって一般登山道を歩き出します。
そして、この日一番のお気に入りショット!
青空と大山の端整な姿をバックに、冬枯れの木がいい枝っぷりでしょう!!
途中のピーク無名ノ頭。でも、道標にマジックで『煩悩の頭』と書いてある。いつからこんな名前になったんだ? それともこれが元来の名前?
ピークの北側をプチ探索して、北尾根の降り口を確認。近いうちにはこの尾根も・・・。
11時30分頃 円山木ノ頭に到着。 少しだけ休憩。
さあ、ここから一般登山道と離れ、弁天尾根に突入だ。
コンパスで尾根の方向を確認して、南東方向へと降りる。踏み跡は無い。けっこうな急斜面だ。でも、落ち葉でフカフカしているから恐怖感は無い。ダダダっと駆け下りる。
急斜面を駆け下りた場所にこんな石積みが。あきらかに人造物だ。なんの跡だろう? 炭焼き小屋でも有ったのだろうか?
やがて広い尾根に出る。ブナの巨木が並ぶ。
ここか! ミックスナッツさんが言っていた『美尾根一番』の場所に違いない。
朽木の苔が陽射しを浴びて金色に輝いている。
こんなネジネジの木もあるよ。
あああ・・・なんて気持ちの良い尾根なんだろう!
でも、この弁天尾根。1000m付近にトラップが仕掛けてあった。地形図で確認して、ここから南東方向の尾根に乗らなければならない事はわかっていた。が、尾根の形がぼんやりしすぎていて、よくわからないのだ。尾根だか尾根じゃないのだか、はっきりしない地形にとまどう。コンパスで確認しつつ、南東の尾根に乗ったつもりでいた。
少し降りたところで、東隣に別の尾根が走っている事を見つける。もう一度地形図とコンパスで確認。どうやら、今自分がいる尾根は、地形図には出ていない小尾根らしい。南南東に向かっている。
東隣の尾根に向かって、トラバースを試みる。急斜面だがポツポツと木も生えている。岩も有る。行けそうだ。
が、これが判断ミスだった。腐葉土の斜面はズルズルで踏ん張りがきかない。岩は手をかけただけで崩れ落ちるくらい不安定。ストックを地面に突き刺し、それを手がかりに踏ん張りながら、急斜面をトラバースする。100数十m進むのに10分以上かかってしまった。
やっとの思いで、正しい尾根にたどり着く。座り込んで、ゼーゼーとする息を整える。
またやっちまった・・・。今日はゼーゼー無しで、のんびり歩くつもりだったのに。いい加減『間違えたらバック』を覚えろよ! と、自分に怒り。ちょっと登り返してから降りた方が、よほど早いし体力も使わないだろ!
さて、900m付近からは植林地帯になります。拍手したくなるくらい、整然と並んだ杉の木。お見事!!
ここからは仕事道を辿って下降します。
やがて植林地帯を抜けると、仕事道は尾根を離れ南の山腹をジグザグに降りはじめます。尾根伝いに塩水川まで降りるイメージでいたので、少し迷いましたが、仕事道を降りる事にします。まあ、仕事道を辿れば間違いなく安全に降りられるよね。
沢音が聞こえてきました。「きっとワサビ沢だ」と思ったあたりで、この見事な紅葉。楓だろうか? この秋に見た紅葉の中で、一番綺麗な木だった。
ワサビ沢に下りたところで仕事道が消える。
え!? どうするの? 沢を下るの? と考える。 「そうだ、ワサビ沢の右岸には林道が走っていたはず。」 と思い出したので渡渉する。写真だと簡単に渡れそうに見えるけど、濡れずに渡るのはちょっと大変。エイっと、助走をつけてロングジャンプ!!
無事ワサビ沢脇の林道から塩水林道に出ました。ここでハッと気がつきます。
「あれれ? 弁天杉は?」
弁天尾根を歩いていて、それらしい巨木は見かけなかった・・・。

林道を歩きながら弁天杉を確認。中央の巨木が弁天杉。(ちなみに左の尾根が弁天尾根、奥の山は無名ノ頭と本間ノ頭)
そうかァ~。尾根上じゃなくて、北側の山腹に有るんだ。植林が終わるあたりで、北側へ行かなきゃ行けなかったんだ・・・。それくらいは、事前に調べとけよナ!(怒)
13時半頃。 何はともあれ、無事塩水橋に到着です。
なんだかボケボケ続きの山歩きでしたが・・・。楽しかったよ、今日もまた。
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