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2009/10/13

地図から消えた道を歩く ~織戸峠から富士見峠へ~

丹沢湖の西部、世附(よずく)と呼ばれる地域には、かつて二つの集落があったらしい。地蔵平と水の木。今では誰も住んでいない。西丹沢最深部のこの山域は無人地帯だ。この山域へ立ち入るのは、春~秋は渓流釣りの人達。冬はハンター達。登山者は滅多に行かない。なにしろ登山道が無い山域なのだから。この山域の椿丸という山に、フと興味を持って訪れたのが約1ヶ月前。その時、この静かな山々の秘境感にすっかり惹かれてしまった。

そしてその時に気になったのが、椿丸の北方にある織戸峠と富士見峠の存在。調べてみると、地蔵平と水の木の二つの集落を結ぶ古道があったらしい。この道は、30年前くらいには、ガイドブックに載るハイキングコースだったとか、東海自然歩道の一部だったとか・・・。今では道は各所で山抜け(大きく崩落する事)していて、旧経路跡がはっきりわからない状態らしい。もちろんどの地図からも道の表記は消されてしまっています。『山と高原地図 丹沢』には、“織戸峠”“富士見峠”の表記だけが黒点で残されています。この二つの峠をどう繋ぐのかさえわからない。これは、気にならないわけが無いでしょう。

そこで、この二つの峠を歩いてみる事にしました。

ネットで下調べをしてみると、やはりこの径路を歩かれている先輩達は何人もいます。が、たいていは地蔵平から、富士見峠~織戸峠と辿っている。ならば私は逆コースだ。織戸峠から富士見峠へと辿ってやろう。と、ちょっとでも人と違う事をしようとする悪い癖。

いつも、あらかじめ地形図に、歩くべきルートをマーカーでラインを引いていくのですが、織戸峠~富士見峠間のルートがどうしてもわからない。そんな時、M-K師匠のHPの掲示板で教えていただきました。(もちろんM-K師匠もこのルートを歩かれている物好きのお一人です) 適切な説明で、ラインを引くことができました。

さあ! 先週の山神径路に続いて、『地図から消えた道を歩く』シリーズの第2弾の始まりだァ。

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10月10日

朝、寝坊をしてしまった。おまけに連休初日で、東名が渋滞。でもって、浅瀬のゲートに着いたのは9時20分。こんなに遅い時間に山登りをスタートするのは、はじめてかもしれない。

林道をテクテクと40分歩いて、三保山荘跡の裏から山へ入り、悪沢右岸尾根に乗る。前回はここからP701へと尾根を辿っていったが、今日は途中で東電の巡視路へ入る。

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東電巡視路は悪沢右岸の山腹を辿りながら奥へと続いていく。難所にはホラ、こんな立派な鉄橋が架かっていて、とても歩きやすい。

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三保山荘跡から30数分で東電の取水塔に到着。(右に見える四角い塔) 巡視路はここでおしまいです。そして悪沢は二俣に別れ、左俣が山ノ神沢。右俣がクマ沢と名前が変わります。ここからクマ沢を登って行きます。

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あれ、こんな所にゴミを捨てた奴が! モォ~!!

が、よく見るとゴミじゃなさそう。ビニール袋の中は、わりと新しい登山靴です。そうかァ。たぶん誰かが、ここで沢靴に履き替えて、登山靴をデポしているんだ。

て、いう事は・・・この先登山靴だと歩けないような沢なのだろうか・・・と、ちょっと不安。

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こんなに素敵な沢。深山情緒たっぷりです。

が・・・やはり沢歩きはあまり得意でない。沢の右岸を左岸をと岩伝いに歩いていくのですが、安全そうな岩を見定めながら、慎重に歩いていく。

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おお!これがM-K師匠から教えていただいた椿丸南尾根の取り付きに違いない。

取水塔からここまで40分かかっている。地形図で測ると1km程の距離だから、「沢を歩くの、どれだけ遅いんだ!」と、自分でも呆れる。

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南尾根に取り付く。最初は急登だがすぐに緩やかに。右手は植林。左手は自然林。そして快適な尾根道。とても気持ちが良い。やっぱり尾根歩きはいいなァ~。

標高800m付近からの最後の高度100mがキツイ。そんなにビックリするほどの急登でも無いのですが、なにしろ地面がフカフカの腐葉土。フカフカの地面を登るのは、必要以上に力が要るんだ。でも、こういう地面は、下りでは気持ち良い事を知っている。走って降りても苦にならないんだ。この尾根、今度は下りで使ってみよう。

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12時半  椿丸山頂到着。

北側の眺望が素晴らしい。大栂(おおつが)とか菰釣(こもつるし)山とかの山並みだ。どれがどの山だかはわからんけれど・・・。

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椿丸から西へ数分。(仮)大五郎丸へ到着。名前の由来は、山頂の木の根元に『大五郎』という焼酎の空き瓶が差して有るから。実はこれ、汚らしいから好きじゃない。見るたびに目をそらしてしまう。でもなんかこれ、織戸峠への分岐点の目印になっているらしいからねぇ・・・。片付けるわけにもいかんのでしょう。

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大五郎丸から北へ伸びる尾根を行く。 ホラ、ちょっとしたヤブ漕ぎも楽しめるヨ。

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右手にはススキのバックに世附権現山。・・・秋ですなァ。

尾根には踏み跡がついていますが、不明瞭な所も。ぼんやり歩いていると、違う尾根に入ってしまいそうな箇所もあります。コンパスを使って、方角の確認は欠かせない。

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13時20分 織戸峠に到着です。 『オリト峠』と手書きのプレートもありました。

さあ、ここからだ。ここから先のルートがはっきりとわからないのだ。気を引き締めなおして、北の尾根の山腹をトラバースしている径路跡へ踏み出す。

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しばらくは、こんなにはっきりとした径路跡を辿ります。道幅は2mも有るでしょうか。山道としてはかなり広い。重要な古道だったのかもしれません。

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気持ち良く歩けたのもほんの束の間。すぐに径路跡は地すべり地帯に飲み込まれます。写真で見れば、なんて事なさそうな斜面ですが、実際はザレザレでトラバースするにはちょっと危険な斜面。しかもトラバースしてみたところで、その先に径路が続いているのかどうかもわからないのです。

でも、M-K師匠から教えていただいた情報で、「P803の真横の法行沢へトラバース気味に下降していくに違いない」と思っていたので、ザレた斜面をこらえながらトラバースしながら、径路の痕跡を探します。すると、ところどころに径路の痕跡らしき平らな面も見つけたりします。

もし、M-K師匠からの情報が無かったら、谷へと降りてしまっていたかもしれません。

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やがてまた、巾2m程の立派な径路が現れ、そこを辿ると法行沢へ降り付きました。

地形図上で、ここじゃないかと予想していた場所にピッタリです。読みが当たった事がこの上なく嬉しい。これが有るからVルート歩きはやめられない。

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法行沢を渡り、P802の西斜面を北へ向かって斜めに登ります。踏み跡は無い。右側の尾根線を目で追いながら、目指すはP802北の鞍部。

鞍部からは尾根に乗り、北へと進む。

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ほどなく林道へ飛び出します。不安要素の強かったルートを無事通過して一安心です。林道の真ん中に大の字に寝転んで一休み。

ああ・・・気持ち良い!!

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尾根から林道に出た地点には、こんな看板が。このルートを歩かれた諸先輩達の記録に必ず登場している看板です。もう字が消えかかっていますが。『メリット 5』と書いてあります。意味は不明。そしてこの看板が、逆ルートで法行沢へ下降する時の目印です。

この後は林道を辿りながら富士見峠へと向かいます。林道といっても草ボーボーの道。

はたして旧経路とこの林道が一致しているのかどうかはわかりません。そこらへんは今後の課題でもあります。

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14時40分  富士見峠にたどり着きました。M-K師匠から教わったとおり、林道から少し入った場所にありました。

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峠には倒れて朽ち果てた道標が。東海自然歩道であった時に立てられた物なのでしょうか? 苔の下には『富士見峠』と記されているのでしょうか?

わかりません・・・

他に「ここが富士見峠だ」と確証を持てる物はありません。 でも、そう信じるしかない。地形を見ても、尾根の鞍部で「峠」と呼ばれておかしくない地形なんだ。

 

さて・・・

今日の冒険はここまで。

もう時間も3時に近づこうとしています。ここから林道を辿って浅瀬のゲートまで、10km以上はあります。急ぎ足で歩いても2時間半はかかるでしょう。

面白かった・・・・

織戸峠~富士見峠を歩く事ができました。次は富士見峠~地蔵平。そして織戸峠~水の木のルートも探索しなければなりません。

他にもまだまだいろんな事がありそうだ、この山域は。

林道をテクテクと歩きながら、今日辿ってきた山を回想します。また今日も、楽しい山歩きができたなァ・・・。

林道の傍らではリンドウの花が咲き始めていました。

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ああ・・・今日はカッコよくしめようと思ったのに・・・

最後がオヤジギャグになってしまった・・・・スミマセン・・・

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コメント

shiroさん
拝見しましたよ・・。
shiroさんのガッツも体力も半端ではありませんね!
帰路の林道歩きは車を使っても長く長く感じるところ
です。Vルートの下降は止めるべき・・なんて余計な事を云いまして済まなく思います。
私はshiroさんにどんどん追いつかれ、追い越されそうな気がします。装備を完璧に備えられましたら立派な
「Vルート達人」の誕生です。
画像が相変わらず綺麗です。「素晴らしい!」
これからも楽しみに、楽しみにしております。(^^)v

投稿: M-K | 2009/10/15 01:06

M-Kさん、こんばんは。
M-Kさんから教えていただいた、適切なルート情報のおかげで、無事に歩く事ができました。それが無かったら、途中で途切れた旧経路をどう富士見峠へ繋げるのか、全くわからなかったです。
それにしても、最後の林道歩きは長かったァ。(笑)けっこうな急ぎ足でしたが、2時間半かかりました。林道歩きは、決して嫌いではないのですが、さすがに厭きました。
「Vルートの下降は止めるべき・・」は、真摯に受け止めています。 「確かに、もっともだ!」と思っています。何しろ未知の山域なのですから。まずは安全な道を歩き、山や谷の様子を観察し、その辺りの土地勘を高め。Vルート挑戦はそれからですよネ!
M-K師匠に追いつくなんて、とんでもない! まだまだ師匠の1/100も歩いていませんから。
 
写真、お褒めいただいて嬉しいです。何しろ、大きなカメラをショルダーに入れて歩いているんです。これがVルートの時には邪魔で邪魔で・・・。そんな思いまでして撮っている写真です。coldsweats01

投稿: shiro | 2009/10/15 21:10

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