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2009/07/30

熊の話

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最近では毎週のように丹沢へ行き、山を歩き回っています。

「今日も山へ行ってくる」と言うと、アイカタ(奥様)から「熊のいるような所へ行っちゃダメだよ」と言われるわけですが「ハイハイ」とテキトーに答えて出かけるわけです。「熊のいない山なんか無いよ」などと答えると、メンドクサイ事になるものですから。

友人達からもよく聞かれるんです。「熊、出るんじゃないの?」と。そりゃ、山ですから、熊ぐらい住んでるでしょう。『熊注意』の看板も見かけますし。でも、あんまりピンとこないんですよね。と言うか、現実味を感じないというか・・・。「熊に出会うなんて、宝くじに当たるみたいなもんさ」なんてお気楽な事を言っていました。

こないだまでは・・・

それが・・・熊の存在を間近に感じてしまったんです。

いえいえ、熊を目撃したわけではありません。「足跡を見た」という、その程度の話なんですが・・・

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先日、寄から鍋割山を目指して歩いている時の事です。コシバ沢から鍋割峠へ登るつもりで、寄沢沿いの登山道を歩いていました。途中の涸れ沢を横断する時、沢の上へ向かってうっすらとした踏み後とピンクのリボンが続いているのを見つけてしまったんです。沢の名前はわかりませんが、地獄崩と呼ばれている沢の1本南の沢だったと思います。

ちょっとした好奇心から、登山道を離れその涸れ沢を登り始めました。今から考えれば、バリエーションルート初心者の私としては、10年早い行動でした。

やがて、とんでもない急斜面を四つん這いで登るはめになり、気がつけばうっすらとした踏み後も消え、続いているのは鹿の足跡ばかり。

それでも道迷いしたわけではなかったんです。地図で有る程度の現在地は把握していましたし、登りつめれば鍋割山稜の登山道に出る事は確実に判っていましたから。とにかく鹿の足跡をたどるように登ります。

その時です。鹿の足跡の上に、見慣れぬ足跡が。

熊だ!!

一瞬息が止まりました。熊の足跡なんか見た事は無いのですが、大きさといい形といい、熊以外にありえないと思いました。くっきりとした足跡で、付いたばかりのように思いました。

「まさか熊が通ったばかりか? まだ近くにいるのか?」

青くなりました。冷静さを失いました。だって、歩きながら何でも写真に撮る私が、こんな貴重な物を撮っていないんですから。まったく、写真に撮らなかった事は不覚です。でも、それどころじゃなかったんです。

周りを慎重に伺いながら、わざと手を叩いたりしながら登りました。尾根の登山道に出た時には、本当にホッとしました。

たかが足跡を見たというだけですが、熊の存在を間近に感じた初体験でした。

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話し変わりますが。

20数年前、まだ私が20代前半だった頃。定職に付かず、アルバイトでお金を貯めては旅して回っていました。今だったらニートと言われるのでしょうが、当時はプータローと呼ばれていました。そんな事はどうでもいいのですが。

北海道を旅しているとき、森という町である農家に数日間お世話になっていた事があります。ジャガイモの収穫などを手伝いながら、寝床と食事を世話になっていたんです。

農作業もひと段落した昼下がり、その家の親父さんから「釣りに行かないか」と誘われました。二つ返事で喜んだ私は車に乗せられ、どんどん山の中へ入って行き、林道の終点で、「ここから沢を歩いて登るぞ」と渡されたのが釣り道具と刃渡り20cmくらいのナイフです。それはナイフと言うより短刀でした。「何ですかコレ?」という私に、「熊に襲われたらこれで戦え」と言うのです。「はあ?」です。でも親父は真面目な顔で言うのです。「熊の張り手を食らったら終わりだ。張り手が来る前に懐へ飛び込め」と。「懐へ飛び込んで、心臓めがけてナイフで突け」と。

オイオイ、何を言ってるんだ。と、ポカンとしている私をさらに驚かせたのは、親父が猟銃を担いだからです。たかが釣りをするのに猟銃かい! でもどうやら、それが当たり前の事らしいのです。 

北海道の人達にとっては、『山へ入る』イコール『熊と出合ってもおかしくない』なんでしょう。そしてこれは北海道に限った話ではない。丹沢でだって、山へ踏み入れば熊に出会うかもしれないんです。丹沢には、それほど多くの熊は生息していないかもしれません。でもいる事は間違いない。

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熊の足跡を見て以来気になって、“丹沢 熊”でググってみました。

出てくる出てくる。丹沢でも私の想像以上に、熊の目撃談が出てきます。中には、熊と格闘したなんていう猛者もいます。それも昔の話ではなく、最近の話として。

これはちょっと、真剣に熊対策を考えなければならない。山を歩く以上、当然、熊と出会う可能性があるのだ。

もちろん熊鈴は持って歩いています。いや・・・でもこれは熊鈴じゃないかも。

実は、あの熊鈴の『ガラン ガラン』とした音が好きじゃないんです。静寂を楽しむのも、山歩きの魅力の一つ。あの『ガラン ガラン』はちょっと・・・。という訳で、東急ハンズでいろいろと鈴を鳴らしてみて、一番綺麗な音色で上品に鳴る鈴を買ってきて、それを持って歩いています。『チリ~ン チリ~ン』と。こんな上品な音で、熊鈴として役に立つのだろうか? という疑問は常々持っていました。やっぱり役に立たないか・・・。

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そうそう。それで、熊対策と言ったって、いったいどうしたらいいの?

サバイバルナイフでも買って、持って歩いた方が良いのでしょうか。北海道の親父の言葉を思い出します。

「張り手が来る前に、懐へ飛び込め・・・」

できるわけねぇだろ! そんな事できるの、ランボーくらいだろ。

とりあえず・・・

『ガラン ガラン』とうるさい熊鈴でも買いに行くか・・・。

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2009/07/27

汗ダラダラで・・・丹沢山

美しい山の花は数多かれど

夏の女王はヤマユリだ

麗しい容姿

甘い香り

夏の強い日差しが似合う花

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7月26日(日)

この日は午後に用事が有ったので、山歩きをするのはあきらめていたんです。どうせ天気予報ではぐずつくはずだったし。

ところが早朝5時過ぎ。トイレに起きた時にちょっとカーテンを開けてみてビックリしました。眩しい朝日。抜けるような青空。こんな日に山へいけないなんて! そんなバカな事があるか!! 急いで支度して、まだ寝ているアイカタ(奥様)に「2時までには帰る」と言い残して、車に飛び乗りました。

東名高速を走りながら、さてどこへ行こうかと考えます。2時までには帰らなけりゃいけないので、西丹沢方面は無理。そうだ天王寺尾根を登って丹沢山へ、というのはどうだろう。天王寺尾根はメジャールートなのに、まだ歩いた事がありません。そうだそうだ、そうしよう。

という訳で、秦野中井ICで降りてヤビツ峠の向こう側へ・・・

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7時15分  塩水橋ゲート前へ到着。

春秋のシーズンは、駐車場所にも困るくらいのこの塩水橋ですが、真夏はやっぱり空いているね。そう言う私も、真夏にココへ来るのは初めてです。だってこの辺はヤマビル地帯。ヤマビル大っ嫌いな私が、夏のこの山域に近寄るはずがありません。・・・去年までの私ならね。

でも今年のテーマは『ヤマビルなんかに負けないゾ』ですから。「出るなら出やがれ」です。そして登山靴にヤマビルファイター。頼りはこいつだと入念に吹き付けていると、靴が白く泡を吹いてきた。オイオイ・・・いくらなんでもかけ過ぎだゼ。

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ゲートをくぐって、林道を歩き出すとすぐにヤマユリを発見。大好きな花を見つけてテンションが上がる。本谷川にかかる橋の上から「なんて綺麗な渓流なんだろう」と、またまたテンションが上がる。そして道端にミツバの花が咲いているのを見つけて、喜々として写真を撮る。

その時だ・・・。目の端にうごめく影が。

出やがった!!

そう。天敵のヤマビルです。

でも今日は自分でもビックリするくらい冷静です。3歩下がって数を数える。2・3・4・・・6匹。こちらへ向かって這って来る。チッ! 忌々しい奴らめ、写真くらいゆっくり撮らせろ!!

アゲアゲだったテンションが一気に下がります。ホントにこいつらのマイナスパワーは凄まじい。

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30分ほど本谷林道を歩いていますが、天王寺尾根への取り付きが現れません。地図だとこの辺のはずなんだけどなあ。今日は下調べもしていないし・・・見落としたか? なんて少し不安になりかけた時に登山道入り口の道標。なんて判りやすいんだ。さすがメジャールートだ。

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この天王寺尾根、植物相が貧弱な植林の山ですから、雑草マニアの私としては、あまり面白くない山です。が、時々現れる雑木林。ほら、こんなに素敵なブナの大木も。

そして急坂と緩やかな坂を繰り返す道は、変化があって面白い。なかなか歩きやすい山道です。

が・・・

それにしても暑い。ピッチが上がりません。体調は悪くないはずなんだけど、いつもよりもゆっくりペースでしか歩けません。

汗をかくことは好きなんだけど・・・。

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マルバダケブキの花も咲き始めました。

決して美しいとは言い難い、雑な感じのする花ですが・・・。鮮やかな黄色い花は、遠めで見ればそれなりに綺麗。

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10時

堂平からの登山道との合流地点。ここまでで2時間45分かかっています。2時までに帰るためには、12時半には塩水橋へ戻らなければならない。ちょっと急がなければ・・・とピッチを上げようとするも、上がるのは息だけ。暑い・・・。クソ暑い・・・。

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登山道合流点から先は、こんなに気持ちの良いブナ林の道。下草も豊かで、私が一番好きな山の光景です。

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おおっ! 鎖場だ。

でもゆっくりなら、鎖に頼らなくても登れる程度。

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この鎖場からの眺めは最高です。冬の空気が澄んだ日ならば、関東平野が一望できるのではないだろうか。

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そして嬉しい発見!

初めて見る花だ。 一瞬、「ヤマハハコか」と思ったが、葉っぱが違う。今まで見たことが無い花だ。夢中になって写真を撮る。野草を求めて野山を歩く“雑草WALKER”としては、一番幸せなひと時。

(今、名前を調べ中ですが、どうやらヤハズハハコという花かもしれない・・・)

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10時45分。 丹沢山山頂到着。 お馴染み、百名山の標識。

汗を拭いて一息入れていたら11時になってしまった。ヤバい。12時半には車へ戻らなければならないのだ。1時間半で降りられるのか? とにかく急ごう。

帰りは時間短縮のため、堂平へ降りる。

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12時。 堂平の塩水林道へ降りる。ここまで山頂から1時間。山道を早足で下りてきた。ここからは林道を通常ならば1時間ちょっと。30分で行こうと意気込み、小走りで駆け下りる。

走ったり歩いたりしながら12時45分に塩水橋ゲートへ到着です。予定よりも15分オーバーだが良しとしよう。

もともと予定なんて立ててないみたいなものだからね。いつもそう。行き当たりばったりの山歩きだけれど、これはこれで楽しいんだ。

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それにしても静かな山歩きだった。メジャールートなのに、ほとんど人が歩いていない。天王寺尾根では出会った人0。山頂でも休んでいた人、6人だけ。帰り道でもすれ違ったのは3人だけだ。

やっぱり夏の暑い丹沢、みんな敬遠しているんだろうね。

よしよし。 みんなは、長野でも群馬でも、涼しい山の方へ行ってろ。

夏の丹沢は俺に任せとけ!

てなわけで、来週はどの山へ登りましょうか。

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2009/07/21

雲の中を・・・大室山・加入道山・畦ヶ丸

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7月19日

前回の記事での予告通り、西丹沢の山々を歩いてきました。

西丹沢自然教室から犬越路~大室山~加入道山~モロクボ沢の頭~畦ヶ丸~自然教室という周回コース。

夏山の花、シモツケソウが咲き始めていました。大好きな花です。美しい花だよねぇ・・・

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朝7時、西丹沢自然教室前の駐車スペースに車を入れます。もうすでに10台以上の車が止まっています。でも、5月に来た時にはこの時間でもう3~40台止まっていましたから。真夏の丹沢は人が少ないから好き。みんな暑いのを敬遠しているんでしょうね。

さて、これから歩く予定の大室・加入道は初めての山です。ワクワクします。今日は初めての山域ですから、バリエーションルートではなく、ノーマルな赤実線ルートを歩きます。のんびりと楽しく行きましょう。仕度とストレッチをして7時15分に出発です。

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自然教室から用木沢出合を経て犬越路へ。このルートは5月に檜洞丸から下ってきた時の逆コース。

西丹沢と静岡の一部にしか自生しないというヒトツバショウマ(上の写真)を初めて見つけたり、準絶滅危惧種のタチキランソウを確認したりと、雑草WALKERとしては幸せを感じながら登っていきます。今日も気分は上々です。

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犬越路からは尾根に乗って、大室山山頂を目指します。

風が強い。夏の登山で風は本当にありがたいのだけれど、それにしても強い。風速10mは超してるな。木々がきしんでいます。

時折見える富士山は、頭にすっぽりとベールをかぶっています。う~ん・・・こんな富士山もまたいいね。

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10時半。大室山山頂に到着。

えっ?山梨百名山!? この山、神奈川じゃないんだ。いつの間にか山梨まで来ちゃったの? と思って地図を確認すると、神奈川と山梨の県境でした。

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山頂付近ではバイケイソウが咲き始めていました。

この山は、ブナの森の山。本当に気持ちの良い山だ。

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ところが次のピーク、加入道山へ向かって上機嫌で歩いている間に天候急変。気が付けば尾根の下は真っ白に! 谷から雲が湧き上がってきているようです。

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そしてあっという間に、尾根道も霧に包まれます。いや、これは霧じゃ無い。雲だ。雲に包まれてしまったんだ。真昼間とは思えないくらい薄暗い。10m先が見えません。

これがホワイトアウトか!!

いや・・・大袈裟です。

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11時45分。加入道山到着。

先ほどから雨がバラバラと降ったり止んだり。

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12時。白石峠に到着。

さて、どうしよう。

計画ではここからモロクボ沢の頭~畦ヶ丸と回って西丹沢へ降りる予定だったけど、この天候だ。ここから用木沢出合へ降りる方が正解かもしれない。ここから畦ヶ丸方面へ向かってしまえば、西丹沢へ降りるエスケープルートはなさそうだ。どうする、どうする?

いったん落ち着けと、とりあえずおにぎりを食べながら『山と高原地図』を取り出す。そしてコースタイムを計算する。ええ~っと・・・1時間10分に30分足して25分足して・・・・ああっ! もうめんどくさい!! なんかパッと見た目で3時間ちょっとくらいじゃないの? ここから用木沢出合へ下りても2時間ちょっとはかかりそうだ。たとえ雨が本降りになったとしても、1時間余分に歩く程度なら。それに、本降りにはならないんじゃない? カンだけど。エエ~イ! 行っちゃえ行っちゃえ! とモロクボ沢の頭へ向かって歩き出します。

こういうテキトーでいい加減な判断が、山では命取りになることはわかっているんですけどねぇ・・・。こういう性分なもんで。

それに丹沢あたりで遭難して死ぬ事もあるまい。・・・って、だからその甘い考えがイカンのだって、判ってはいるのだけど・・・性分なもので・・・。 でも、マジで『山を舐めるな』を肝に銘じないと。判ってはいるんですけど・・・。

(この記事を書くに当たって、地図のコースタイムを計算してみました。白石峠~モロクボ沢の頭~畦ヶ丸~西丹沢は4時間25分になっていました。が、この日実際は3時間半で歩いていますので、パっと見た目のカンもあながちはずれではない。)

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相変わらず雨は降ったり止んだりの繰り返しです。でも、こんな真っ白な空気に包まれた山道も悪くは無い・・・なんて思ったりもしてました。決して負け惜しみじゃないよ。だって、こんな光景も神秘的でしょう? 雲の中を歩くのも、また良し・・・としよう。

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水晶沢の頭、ジャガクチ丸、バンの木沢の頭、モロクボ沢の頭といくつかのピークを越えて、13時45分畦ヶ丸に到着です。

白石峠からここまでの尾根道は、ベリーグッド!! 適度なアップダウンが、とても気持ちが良い山道でした。それに何よりもいいのは、人が歩いていない事。犬越路~大室山~加入道山は、ガイドブックには必ず載っているコースですから、さすがに多くの人が歩いていました。(それでも表尾根に比べたらとっても静かな山ですが) それに比べ白石峠から畦ヶ丸までは、1組のパーティとすれ違っただけ。こういう静かな山道が大好きです。

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畦ヶ丸から西丹沢までの道も、また素敵だったなぁ。途中から沢沿いを歩くルートなのだけれど、この沢がまた気持ちがいい。沢道も数々歩いてきたけれど、その中でもこの沢道は格別だ。沢の景観がとっても美しいんだ。水音も綺麗だし。それにしても水の流れる音って、なんでこんなに癒されるんだろうね。

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3時半。無事、西丹沢自然教室に到着です。降りてきた山を眺めながら、しばし余韻を楽しみます。

それにしても、今日はバテた・・・。8時間15分の山行。最近では一番長く歩いたかも。

今日も楽しませてくれた山々に感謝。雲の中を歩いた事も、素敵な思い出さ。

 

今日のオマケ。 『これって何??』

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畦ヶ丸から西丹沢への道標に付いているこのマーク。 これ何? 他では見た事が無いけれど、畦ヶ丸のマーク? 何の意味が有るの?

なんだか気になるんです。とても良いデザインだから。

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2009/07/15

梅雨明け

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昨日梅雨明けしたんだって。

やったぁぁぁ・・・

大好きな真夏がやってきました。

草、光る夏。

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とりあえず、山だ!

真夏のクソ暑い、丹沢へ行こう。

汗ダラダラと流しながら、山を歩くの大好き。

久しぶりに西丹沢にでも・・・

そうだ。まだ登った事の無い、大室山とか加入道山とかへ行こう。

今度の日曜。

晴れるといいなぁ・・・カンカン照りに。

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2009/07/06

尊仏の土平

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7月5日

尊仏の土平へ行ってきました。

丹沢の山の奥。誰も訪れない場所。

寄から鍋割山を越えて、4時間歩いてやって来ました。

誰もいない。何にも無い。山奥には不似合いなだだっ広い河原。ただ石がゴロゴロとしているだけの荒涼とした景色。

なんだろう・・・この変な空間。 美しいわけではない。劇的でもない。だけど決してありふれた景色ではない。何か・・・はっきりわからないけど何かが、心に引っかかる風景。

不思議な場所だ・・・尊仏の土平。

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ところでこの“尊仏の土平”、なんて読むのでしょうか?

私はよくわからないままずっと『そんぶつのつちひら』と読んでいました。が、数週間前ウィキで『そんぶつのどたいら』と読むことを知りました。

どたいら!!

これは衝撃でした。「“どたいら”と読むか!? “どひら”ならまだしも“どたいら”か!?」それ以来、“どたいら”が頭から離れません。これは一度行ってみなくてはなるまいと。この目で“どたいら”を確かめてみなくてはなるまいと。それがこの日、この場所を訪れた理由です。

尊仏の土平、丹沢歩きをしている人ならきっと知っている名前です。玄倉林道の終点で、塔の岳の登山道入り口が有る場所です。

これは私の想像ですが、玄倉林道に一般車が入れた時代には、きっと賑わっていた場所なのかもしれません。ここまで車で入ってくれば、塔の岳へは最短で登れます。あるいは丹沢山や蛭が岳へ登るのも最短でしょう。キャンプやバーベキューを楽しむ人々も多かったのかもしれません。

玄倉林道の一般車の通行が禁止になってから、次第に訪れる人が少なくなったのかなぁ。そんな事を思いながら、しばらくの間ただボーっと眺めていました。この殺伐とした風景を。

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帰途は雨山峠へ向かって、しばらく玄倉林道を歩きます。かって車が通っていた頃の名残、倒れ掛かったカーブミラーが物悲しい。今は岩がゴロゴロとしていて、工事車両でさえも通れそうもありません。

車どころかこの玄倉林道、今は歩行者ですら通行禁止なのです。途中のトンネルが崩壊の危険が有るのだとかで、その区間が完全に閉鎖されています。

そして尊仏の土平は、完全に取り残された場所になってしまったのです。玄倉林道が通れなくなってしまった今、行くのが厄介で、行ったところで何も無い場所。だからきっと誰も訪れる事が無い場所。

このまま、忘れさられて登山地図からも消えてしまう名前かもしれません。でも、僕は忘れない。きっとまた、ここへ戻ってくる。何も無いけど、何かが心に引っかかる場所・・・・それが尊仏の土平。

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誰とも会わない林道をのんびりと歩く。傍らではイワタバコの花が揺れていました。

ああ・・・もうすっかり夏なんだなあ・・・。

 

 

オマケのコーナー

今週の『これってどうなの?』

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鍋割北尾根の途中で見つけました。木に缶スプレーで書いた道標。

ハイキングコースではないバリエーションルートを、私のような読図未熟者が歩く時、目印のリボンやスズランテープ、ましてや手書きの道標は本当にありがたい。山の中でいつも感謝しています。

だけどこれはどうなの? 強烈な違和感を感ぜずにはいられません。樹木に直接缶スプレーは無いだろう?

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